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ムシカWeb通信


■ 2010/05/01 軽井沢ヴィラセシリア音楽堂

 5/3(月)のコンサート会場は林の中にある軽井沢ヴィラセシリア音楽堂です。ここはオルガニストの和田純子さんのお住まいでもあるのですが、オルガンの響きのためには1000立米の空間が必要とのことで、床は地下1階、天井は2階建家屋の屋根まであり、壁はコンクリートの打ち放しというまさに中世ヨーロッパの小礼拝堂を思わせるたたずまいです。

 オルガンと声との交ざり具合が良く、歌い手の身体も1本のオルガンパイプになったように感じました。シュッツやシャイトといった17世紀初期バロック音楽がこれほどに華やかなものだったのか、と驚きました。またフランス現代のラングレのミサ曲からもなかなか変化に富んだ音色を引き出すことが出来、これはまことに思いがけないことでした。

 昔と違って、東京から軽井沢は新幹線で1時間ほどです。軽井沢にお住まいの方、また東京の方も是非1度この音楽堂をご訪問下さい。                                                                                                      

軽井沢ヴィラセシリア音楽堂

春のコンサートシリーズ  2010 5/3 [Mo] 14:30開演

淡野弓子 メゾソプラノリサイタル   オルガン 和田純子

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■ 2010/05/11 コンサートあれこれ、そして《女の愛と生涯》

 5/3 軽井沢ヴィラ・セシリア音楽堂のコンサートで歌ったラングレの<ミサ>がその音楽堂で鳴った初めての現代曲だったということでした。この曲が建物に良く合ってお客様にも喜んでいただけたとのこと、とても嬉しく思いました。ミサの通常文、キリエ/グローリア/クレド/サンクトゥス/ベネディクトゥス/アーニュス・デイをすべて独りで歌う曲ですが、ひと言ひとことに異なった和音がつけられていて、その変化・・・変った時の意外性が楽しめ、一つ一つの和音から立ち上る倍音が美しい曲です。この音楽堂では倍音が非常に明瞭に聴こえるアクスティクなので、作曲家が意図した響きがそのまま聞こえたのだと思います。幸いなことでした。

 その翌日から5/8のリサイタルの伴奏合わせに入り、その上ちょっと風邪気味でしたので、なにも他のことは出来ませんでした。このリサイタルも終わり、やっと少し元気を取り戻したところです。

 5/8(日)は自由学園のある一角、その名も学園町というところにある丸山さんのお宅のスタジオ「フェルマータ」でのコンサートでした。丸山さんはオルガンを作っておられます。正面に第1号の可愛らしいポジティーフ・オルガン、上手にスピネット、下手にピアノのあるお部屋で、40人ぐらいのお客様がお見えになりました。ピアノとオルガンを使って、前半をバロック、後半を歌曲というプログラムにし、どんな鍵盤でもそこから最良の音をひきだすことの出来る武久源造さん、それにヴァイオリンの山口真理子さんと一緒に伺いました。

 バッハのカンタータ・アリアとヘンデルのドイツ語アリアははじめからオブリガートのついている曲でしたが、今回シュッツのソプラノ2声のコンチェルトの片方をヴァイオリンで、いう方法を初めて試してみました。これはなかなかうまく行ったと思います。器楽の奏者も、言葉のついたフレーズを楽器で奏するという良い訓練にもなります。

 バロック音楽とドイツ・リートは様式が違いますので、一つのプログラムのなかで続けて歌うのはちょっと難しいところもあるのですが、今回は自分へのチャレンジの機会と思い、後半はシューマンの《女の愛と生涯》をメインとしました。

 《女の愛と生涯》の最後の曲はご存知のように夫の死を歌ったものです。私は長いこと漠然と《女の愛と生涯》は未亡人が歌う歌だと思っていました。クララのことが頭にあったのかもしれません。それともう一つ、10年ほど前に、アグネス・ギーベルが日本で何度もこの作品を歌い、その演奏がかなり決定的だったので、自分で歌う、という気持ちが起こらなかったのです。またそれに輪をかけて、歌詞の内容がどうもぴったりこないということも、敬遠し続けた大きな理由です。

 最近になってやっと、どんな内容の歌詞でも、距離をおいて、音楽の律に従った声の色を組み合わせ乍ら客観的に歌う、という道筋に目覚め、この《女の愛と生涯》も歌ってみようかな、という気持ちになりました。同時に未亡人になったら歌う、という考えは非常に奇妙なものであることにも気付きました。私が「お先に失礼」ということになると、以後永遠にこの曲は歌えないのですもの。今年はシューマン生誕200年でもありますので、私は丸山家のホールで思い切ってこの曲を歌ったのでした。

 シャミッソーの《女の愛と生涯》全八曲は、それぞれが一女性の年齢を想定して書かれています。以下私の想像ですが、最初の曲は17.8歳、2番目が19歳、3番目が20歳、婚約指輪の歌が21歳、結婚式とそれに続く子供の生まれる予感の歌が22歳、赤ん坊にお乳をやりながら感極まった喜びを歌う第7曲が23歳、そして、最後の夫の死を歌う歌を何歳と想定するかで、全体の構成感と情緒の流れに大きな変化が起こりますが、詩の内容から推し量ると愛情の絶頂で遭遇した悲劇に思えます。音楽はいきなりd-Mollのコード、歌は「Nun hast du mir den ersten Schmerz getan 今、あなたはわたしに最初の苦しみを・・・」と呟きます。「den ersten Schmerz 最初の苦しみを」というからには、結婚生活の短かったことが想像されます。勿論金婚式を過ぎてから、と考えてもよいのですが、やはり早世の方が衝撃が強いと思いますので、私は勝手に25歳と想定しました。若い未亡人という設定にしますと、全体で7、8年の生涯ですので、最後の歌が老女の繰り言のようにはならず、全体に漂うのは「夢」、半覚半醒の状態で第6曲まで一気に進み、赤ん坊を抱いて歌う第7曲で初めて宣言される「男に子供は産めないだろう」という“女性の勝利”を実感のある声で歌い、そのままの若さで“夫の死”へ進めたら・・・という青写真でしたが・・・? 

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■ 2010/05/21 ご報告 J.S.バッハ<マタイ受難曲>公演

 遅ればせ乍ら去る3/20に行われた「2010年受難楽演奏会」のご報告を。                                               

 J.S.バッハ<マタイ受難曲>

 2010/3/20(土)午後3時開演 

 保谷こもれびホール メインホール

 西武池袋線の保谷駅から徒歩15分のこもれびホールは、郊外とあって、ホールの玄関口までが広々しており、周りには高層建築もなく、のどかな雰囲気でした。午前中から男性メンバーがせっせと働いてくれ、舞台の組み立てなども自分たちで行いました。今回通奏低音で用いることとなったジルバーマン・スタイルのフォルテ・ピアノも早々と到着し、武久さんは床に座り込んで鍵盤を膝に乗せ調整に入っていました。準備の段階からすでに「鄙のマタイ」「自分たちのマタイ」という感じで、なにか新しいことが始まるという素直な喜びが伝わって来ました。

 私は舞台の袖で聴きましたので、真っ当な感想とは言えないかも知れませんが、印象に残ったことを幾つかお伝え致します。

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■ 2010/05/26 M.Butterfly

 M.Butterfly by David Henry Hwang

 2010/4/17(SAT)〜6/6(SUN) 

 Guthrie Theater [Minneapolis]

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