■ 2009/04/15 <楽人の戯れ>
3/27の<受難楽の夕べ>が終わってから狂躁の3週間 (えっ? 3週間?)が過ぎようとしています。いろんなことが押し寄せ、4/8には茜を連れた桃子が到着。4/12<復活祭の音楽>が無事終了。この前後から4/17のコンサートの練習が始まりました。三ツ石潤司さんと長尾洋史さんのピアノは、勿論それぞれすばらしいのですが、お二人の連弾が絶妙です。ブラームスの<愛のワルツ集>は4重唱にピアノ連弾という組み合わせなのですが、連弾の周りを声が舞うといった趣きに書かれていて、肩の凝らない楽しい作品です。ブラームスはもう1曲、柴欽也さんのクラリネット、長尾さんのピアノでクラリネット・ソナタが演奏されます。この曲はブラームス晩年の作品で、対話体が続き、まるでブラームスとクララ・シューマンが2人で思い出話に時を忘れているような雰囲気です。シューベルトのソプラノ、クラリネット、ピアノのための<岩上の牧人>もほとんど遺作ですが、こちらは、この世を飛び越えてしまったかのような、透き通った音楽です。桃子、柴氏、三ツ石氏で演奏します。さらにシューベルトのリートの名作をファンダステーネ氏のテノール、太郎のバリトン、三ツ石氏のピアノでお聴き戴きます。今回のコンサートはなんといっても音楽が良く充実のひとときとなるでしょう。4/17 金 武蔵野市民文化会館(小)で午後7時からです。当日券もございますので、是非いらしてみて下さい。まずはお知らせのみにて。
■ 2009/04/16 茜 到着
■ 2009/04/27 Der klingende Frühling 鳴り響く春 2009 報告その1
皆様、終わりました。3/27のメンデルスゾーンの<晩祷歌><詩編22>、ペルト<ヨハネ受難曲>、4/12のメンデルスゾーンのモテット、ヘンデルのアリア、シュッツ<復活の物語>、4/17のシューベルト<岩上の牧人>とリート、ブラームス<クラリネット・ソナタ>、<愛のワルツ集>。私はペルトとシュッツは指揮をし、ブラームスは四重唱の一員として歌いました。
なんといっても難しかったのはシュッツでした。甦られたキリストはあちこちに出没されるのですが、最初は誰も彼に気付きません。この人々が気付かないシーンと会話がえんえんと続き、大変なストレス。しかもキリストもマグダラのマリアも二重唱。これが例えばデマンチウスの<ヨハネ受難曲>のようにイエスが3声から6声を行き来するような書き方であれば、より合唱的な解釈が出来るので気が落ち着くのですが、2声というのは緊張させられます。「2」という数字の持つ恐ろしさに改めて驚かされました。
「2声」ということにはさまざまな解釈が考えられます。最も客観的なのは、イタリアにはこのような伝統があった、というものです。確かにイタリアのルネサンス期に完成の域に達したマドリガルは一人の人間の心の想いを5声で歌います。
現し身の姿と霊的存在が二重になっている、とも考えられるのかも知れません。また、イタリアの二重合唱の影響か、という説、とすると二人のイエスを右と左、あるいは上と下など、遠く離れて立ち、異なった場所からお互いを呼ぶように二重唱をするという形も考えられます。
また「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてあることはすべて実現する」と<復活の物語>の中でイエスが述べられているように、イエスの復活は突如として起こったことではなく「預言の実現」ということなのです。すなわち、先ず神の計画があり、それが預言者によって語られ、その通りになる、というステップを踏むがゆえに、預言と実際に起こったことを同時に表すために2声にしたのか、と最近になってハッとさせられたのですが、確信に至ったわけではありません。