■ 2007/01/01 頌春2007
皆様、明けましておめでとうございます。年ごとに時間が短くなって行き、今年もまたあっと言う間かと思いますと、この実人生もひょっとして夢? と心配になってきます。ドイツの報告もちょっと一休み、ここで新年のコンサートのご案内を。
昨年のクリスマスは帰国直後でもあり、準備もままなりませんでしたので、例年の<本郷教会クリスマス・コンサート>は2007年1月6日(土)午後6時、1月7日(日)午後5時開演ということになりました。
曲はバッハの「クリスマス・オラトリオ」です。六曲のカンタータからなるこのオラトリオは教会暦に従えば、降誕祭第一、二、三日に第一部から第三部までをそれぞれ一曲ずつ、1月1日に第四部、新年後の第一日曜日に第五部、続く顕現祭(1/6)に第六部を演奏するということになっていますが、今ではドイツでもクリスマスの時期にまとめて演奏されているようです。わたくしたちは三曲ずつ二日に分けて演奏致します。
日本ではクリスマスがあっと言う間に終り一気にお正月という運びですが、キリスト教圏では顕現祭後第三〜四日曜日ぐらいまで、ツリーの飾りを外しません。新年を躍動感溢れるバッハの<クリスマス・オラトリオ>でお祝いしようではありませんか。どうぞお気軽に本郷教会へお越し下さい。
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■ 2007/01/12 <クリスマス・オラトリオ>も終り
1月11日 水曜日午後7時よりシュッツ合唱団の定例練習が始まりました。練習場のクロイツ教会(ドイツ語福音教会)では、ドイツの伝統的なオーナメントであるストローを組み合わせて作られた星が大きな樅の木に飾られ、その下で大きな木彫のお人形たちがクリスマスの物語を演じていました。教会堂は暖かくも嬉しいクリスマスの気分に溢れていましたが、わたくしたちの練習は<ヨハネ受難曲=バッハ>、コンサートは3月11日[日]午後6時開演です。今日から発声および合唱の指導は演奏会当日の指揮者 淡野太郎となりました。 彼は昨年の10月からバッハのカンタータの指揮を始め、11月にはリストの<レクイエム>、そして新年6日、7日の<クリスマス・オラトリオ>の指揮者を務めましたが、新鮮さと若いエネルギーに期待が集まっています。
1月12日[木]午後7時、メンデルスゾーン・コーアの定例練習です。シュッツ合唱団と同じクロイツ教会で練習をしています。昨年の5月に発足し、メンデルスゾーン<エリア>公演が大きな目標ですが、他に彼のモテットや詩編、合唱歌曲を歌っています。来たる2月17日[土]午後6時よりルーテル市ヶ谷センターで行なわれるアンサンブル・アクアリウスのコンサートに友情出演し、数曲ご披露致すこととなりましたので早速猛練習を。コンサートの詳細は後程改めて。
次信はドイツ演奏旅行の続きを参加メンバーのレポート、感想などを交えてお届け致します。
■ 2007/01/15 ドレスデン聖母教会・待降節第三日曜日の礼拝
午前11時正面上方に据えられた大オルガンが響き渡り礼拝が始まりました。わたくしたちは「音楽」の項で3曲のモテットを歌いました。常に感じることは、礼拝音楽の場では普通のコンサートにはない時間の流れ方があり、その中で歌う、奏く、ということの難しさです。有無を言わさぬものが支配しているのです。しかし、命令というよりは促しであり、自分をその場に解き放ち、委ねることによって、「用いられる」という状態が与えられ、主観、客観を超えた時空に音が舞う・・・。シュッツの二曲のモテットはいささか緊張しており、その至福にあずかるには今一歩ならぬ数百歩という感じでしたが、な、なんと「Also hat Gott die Welt geliebt(神はそれ程にこの世を愛し)」の最終コーダ部分「das ewige Leben haben(永遠の生命を得る)」の ha(得)・・・と歌い出した瞬間、合唱席の右上方の窓から燦々たる太陽の光が射し、・・・ben(る)では文字通り光に包まれてのエンディングとなりました。その後礼拝は最終段階に入り、「主の祈り」の後に歌ったラインベルガーの「天は露を滴らせ」は、まさに・・浮かび漂う・・といった趣き・・・。
合唱席にはグリューネルトさんとドレスデン在住の日本人ワルブレヒト夫人がずっと付き添って下さり、心配はありませんでしたが、この方々のガイド無しには、地下の聖歌隊控え室から礼拝堂の合唱席までの曲がりくねった細い長い階段の途中で迷子になっていたことでしょう。
聖母教会の礼拝には世界各地から毎回1800人の人が訪れるとのこと、外で列をなして待っていても、入れない場合もあるとか・・。わたくしたちの受けた恵みの大きさ、深さは測り知れぬものでした。以下、当日の週報に従って礼拝の流れを記しておきます。
■ 2007/01/17 クリスマス市
礼拝が終り、午後2時に再び聖母教会の前に集まることを約束して自由散策。
クロイツ教会へ向かう道はクリスマス市! 蝋燭、ぬいぐるみ、エルツ山岳地方の世界的に有名な木製のお人形などなど、わくわく、いそいそ、キャー!
加えてソーセージ、キノコやジャガイモも炒め物、暖かくて甘いグリューヴァインなどなどなど!!! 三三五五連れ立って歩くというよりはあっちへふらふら、こっちへよろよろ(なにしろ人が多くて)・・・。U君とはぐれたらいけない、と三歩行っては振り返りU君を探す私でしたが、常にそばには冷静なOn君がしっかりとカメラを抱えて・・。見守られていたのは私の方ですね、きっと。Y君はなにか特別の蝋燭を見つけるべく長身をゆらーり、くらり・・。それにしても彼はなにゆえにあんなに背が伸びたのでしょう? 小学校4年生でシュッツ少年合唱団に入ってきたY君、当時はちっちゃくてドイツ語のひげ文字にも動揺せず、教えたことはすぐに覚え、完璧なボーイソプラノでシュッツを歌っていましたっけ。おお、すでにクロイツ教会は目の前です。
一昨年はこの教会でコンサートでした。いつ来ても、ここではざわざわと霊たちが喋っているような気がして、個人的にはちと苦手なのですが、思い起こせば 3、4回歌わせて戴いたある意味では縁の深い教会です。なんといっても聖十字架合唱団がシュッツ、バッハを歌い続けており、どどんとした感じの長円形の内壁も、どんな片隅の石もそれらの響きをすべて記憶に留めているはずです。
教会に入ってすぐ右側の一角にギャラリーのような空間があり、そこに来た時私は「ゆり子さんがここでカリグラフィーの展覧会をしたのよ」と説明しますと「ゆり子さんはそこにいましたよ」との返事。「エ、エッ、嘘でしょう」というか言わぬうちにゆり子さんが「こんにちは」と現れたではありませんか。(ね、やっぱりちょっと妙な教会でしょう?)彼女はどこにいても、そう、中野でも上荻でもドレスデンでも「そこにいるのが当然」といったただずまい、今回も私たちとは別ルートで風のごとくドイツに来ていたのでしょう。ほんとうは彼女、鳥なのかも。