■ 2014/07/03 『17世紀の華』
TopPageでお知らせしておりますが、7/4(金)午後7時より三鷹市芸術センター「風のホール」で『17世紀の華』と題しシュッツ、シャイン、シャイトの名曲を集めて演奏します。この3人に関しては1985、86、87年にそれぞれの生誕400年を記念してかなり多くの作品を演奏しましたが、今年久しぶりにまとめて3人の音楽に触れ、実に飛んでもない人々であることを再確認しました。豪華絢爛な音の渦です。まずは心身に活気が甦り元気になります。ご来会をお待ちしております。
■ 2014/07/07 言葉は音に、音は風に <17世紀の華>淡野弓子[7/4プログラム・ご挨拶]
今夕のプログラムは、いずれ劣らぬ名匠シュッツ、シャイン、シャイトの傑作を選りすぐってお届けしようと編まれたものです。3人の音楽はそれぞれ独特の美を放ってはいますが、比較の対象というよりはむしろ似た者同士の面白さを感じます。さらに、3人の音楽を1度に聴くことによって、それぞれの良さが際立って来るのも不思議なことです。
シュッツ、シャイン、シャイトに共通しているのは、ヨハン・ワルターを源流とするドイツ・プロテスタントの作曲家であるということです。ワルターはマルティン・ルターの友人で音楽上の相談に乗っていた作曲家でした。シュッツの最初の師であるゲオルク・オットーはワルターの弟子でしたから、シュッツはワルターの孫弟子ということになります。強靭なワルターの流れは3大Sに続いてパッヘルベル、ブクステフーデ、J.S.バッハを乗せ、文字通り轟々と音を響かせて200年の時を刻みました。またこの200年は「音楽は神が創造し人間に与えた贈りもの」と信じられていた時代でもありました。
音楽学者H.H.エッゲブレヒトは、ハインリヒ・シュッツの声楽曲を聴くと、一つ一つの言葉に付けられた音の、そこに存在する必然性がはっきりと提示され、人は音楽を聴くと同時に、この自分を取り巻く世界の仕組みに目覚める、と語っています。神の整えた秩序を音楽で映し出し、音楽によってこの宇宙に隠された神の法則を知ることが出来るとは!
言葉は音楽となって私たちの五感と身体を動かし、言葉の伝える意味を超えた何ものかが私たちの魂を振動させます。このようにしてキャッチされた音楽によって、人は身体の軸を正され、心を解き放たれて、新しく生まれ変わるのです。「音楽は神の贈りもの」とはルターの言葉ですが、今夜の3人の音楽は正にこの言葉の具現に他なりません。
彼らの生きた30年戦争(1618-1648)時のドイツはペストでバタバタと人が死に、さっきまで共に音楽をしていた人が翌日には戦場に狩り出され、薬草などを扱う女性たちが魔女と呼ばれて裁判にかけられるなどなど、想像を絶する凄惨な時代でした。戦時下、シュッツはコペンハーゲンの王室に疎開し、シャインは病弱のため1630年44歳で亡くなります。シャイトはドイツに留まり、教師などをしながら細々と生き延びました。
このような時代にも拘らず、彼らの遺した作品はどれも限りなく明澄で豪華です。大胆に神の臨在を告げるシュッツ、繊細な筆致で大きな出来事を人々の胸に彫り込むシャイン、彼は宗教歌と世俗歌を交互に出版するという、親しみを感じさせる人柄で、シュッツの親友でした。今夜は酒宴のための器楽曲集《音楽の饗宴》から第15組曲も演奏されます。シャイトの合唱作品は、鋭い感覚と思い切りの良さで思わず背筋を伸ばしたくなります。彼は1624年、それまで使われていた文字譜を5線譜で表した《タブラトゥラ・ノーヴァ 新譜表》全3巻を出版しました。代表作《吹け、風よ吹け》をチェンバロソロでお楽しみ下さい。
■ 2014/07/19 柴田南雄《宇宙について》(FaceBookより)
2014/9/15(月・祝)午後3時 三鷹市芸術文化センター「風のホール」 [日本声楽発声学会創立50周年記念演奏会] として、柴田南雄《宇宙について》ほかを演奏します。
昨夜この曲に参加する指揮者3名が集まる。話し始めた途端から盛り上がり、細部に至るまでほとんどの打ち合わせがスイスイと進み、最後はビールで前祝い。柴田南雄、歿後18年の今、我々をこれだけ鼓舞する彼の醒めた気迫、只ごとではない。
合唱シアターピース《宇宙について》(1979)についてはこれから少しずつご紹介致します。
_ 松浦のぶこ [バッハBWV147 心と口と行いと生き方 パリ日記140329 ソプラノのアリア「イエスよ道を備えたまえ」を..]
_ Yumiko Tanno [松浦のぶこさま ご投稿ありがとうございます。「間違ってこのコメント欄に」とのメールも戴きましたが、熱心にバッハを勉強..]