桜吹雪のなか、素晴らしい復活祭の一日でした。朝、教会へ向かう道筋で、自分の顔が笑っているのにびっくりしました。
2月14日から3月29日までの受難節は<受難楽>のコンサートの圧迫感と共に辛いものを背負っている感じでした。そして、死ぬか、と思ったリストの《キリスト》のことも何度も胸を過っていました。(説明:公演前日にもの凄い腹痛と××に襲われ、当日も文字通り這うようにして会場へ)終演後も打ち上げどころではなく、家に帰ってバタン。演奏者は「良い曲だ。またやりたい」とのことでしたが、私は思い出しても寿命が縮まりそうな数年でした。そして今日、FBに、リスト・・・キリスト・・・の文字が。あ、どこかで演奏されたのかな、と思って開きますと、なんと、私たちの演奏会にいらして下さった玉上さんの暖かいご感想でした。みなさまにもお読み戴けたらと思い、シェアさせて戴きます。
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toranekodoranekoのブログ
クリスチャンブロガーが綴るブログです。
明るい高齢化社会、病から得た様々な宝、世の中の動きへの警鐘(銅鑼)を鳴らすこともあります。
ときどき大阪弁も出てくる聖書物語もお楽しみに。
主催者のほか様々な協力者も登場します。
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音楽の中には幾度も演奏されて世に広く知られ親しまれていく曲と、本当に志のある方が懸命に企画し努力して、一生に一度の演奏の機会が辛うじて与えられる、それだけの覚悟と献身を求められる曲があります。
今日の曲は間違いなく後者です。
そして、その場に居合わせた人々がその時の情景と感動を語り継ぎ、その場に居合わせることができなかった人々が地団太踏んで悔しがり、ひとつの伝説となっていくのです。
この曲は、2011年に演奏される予定でした。あの震災の影響で延期になり、奇しくも、震災の約1年後、棕櫚の聖日の前日、イースターの一週間前に演奏されることになったのです。
場所:新宿文化センター大ホール
演奏:ハインリッヒ・シュッツ合唱団ほか
170分かかるという大曲です。覚悟を決めて、しっかり体調を整えて聴きに行きました。
それでも指揮者の淡野弓子先生の解説によると・・
「1曲1曲のテーマが鮮明で・・音画手法や象徴表現が多用され、1語1語の表現が誤解の余地のないものとなっており、音楽を聴けば内容は必ずわかる・・ひと言でいえば非常に分かり易い音楽ですので、退屈するひまはありません。」
全体は3部構成14曲。
聖書のいわばハイライトとなる14の場面を取り出して深く掘り下げて構築した、という具合になっています。
第2部はその後のイエスのご生涯。山上の垂訓からエルサレム入城まで
第3部は受難と復活です。
指揮の淡野弓子先生登場。会場は一斉に拍手。
ところが先生は急に引っ込んでしまわれました。
何とメガネを忘れて取りに戻られたのでした。
会場大爆笑。ところが、そんなホンワカムードのままにいきなり指揮棒が下されました。
そして、そんなホンワカにふさわしい曲だったのです。
「おい、熊さん。」
「なんだよ、八さん。」
「平和だね。星がきれいだね。」というような感じでまずはオーケストラだけで静かな田舎の風景が延々と繰り広げられていくのです。
そして、第1部最後の聖三賢人のマーチとなると、会場はやんやの大喝采。
「宗教音楽」と肩ひじ張っていたのが拍子抜け・・・
ところが第2部になると、一気に緊張感が高まります。
バスのソロが主導する山上の垂訓、教会の礎(ペテロ)、ガリラヤ湖の大嵐、そしてエルサレム入場と、イエス様のご生涯のあの場面この場面が次々と現れてきます。
何も知らずに聴いた方でも凄さが伝わってくるでしょう。聖書を少しでも読んだ方なら圧倒されるでしょう。
たちまち1時間が過ぎていくのです。
受難の時。
ゲッセマネで血の汗が流されます。
そしてあの長い長い「悲しみの聖母は佇みて(スターバト・マーテル・ドロローザ)」。
いつまでもいつまでも続きます。その長いときが必要なのです。終わり近くなって、ようやくその長いときの意味が分かってきます。
と、女声合唱とハルモニューム(小型のオルガン)だけで奏でられる復活祭の讃歌。
この画面転換のあざやかさ、静かに確信をもって語られる復活の真実。ごく短く、それで十分なのです。
そしてついに復活。喜びの爆発。
2000年前のあのこと、今日に至り、未来に語り告げられるべきことを、この一晩の演奏が示したのです。
私が生演奏でこの曲をもう一度聴く機会はおそらくないでしょう。
心に刻まれた貴重な思い出をつたない文章に綴り、あの時の感動を思い出す手掛かりとするしかありません。
2012年4月東京カベナント教会ブログ「重荷をおろして」に投稿していた記事です。
イースターを明日に迎えて、再投稿しました。
後略
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玉上さん、本日は善い復活祭をお迎えのことと存じます。本当にありがとうございました。 淡野弓子