■ 2012/08/21 勉学の夏
またまたのご無沙汰でした。『バッハ』について書いた原稿(決定稿)を8/9入稿、私の手から飛び立ってゆきました。この本に関する詳細は後ほどお知らせ致します。8/21がシュッツのCD《Geistliche Chormusik 1648》の解説原稿の締め切りだったのですが、『バッハ』の疲労が思った以上に深く、頭が働かないので締め切りを延ばしてもらいました。
次は発声学会の「歌の集い」(8/16)の準備です。当日のリハーサルのスケジュールやプログラム作りでまたもやPCとにらめっこ。ひっきりなしのメール。そして自分の話す「シュッツの出現」という講演(8/17)の準備。
「歌の集い」は非常にうまくいったと思います。独唱者3名のプログラムはそれぞれに気合いがこもり、ジュニア合唱団は可愛く、清々しく、高校生中心の女声アンサンブルはそれなりに艶の有る声。
この日には能楽の先生のお話も伺いました。能の「発声」についてでした。私にとっては実に貴重な教えでした。
曰く「この呼吸法によって意識の変革が起こります。」
曰く「それゆえ、遥か以前に生きていた人が、今、ここに、甦るのです。」
これは西洋音楽にも当てはまります。シュッツを歌っているといつも同じことを感じていました。ここから先は極めて専門的になりますので場を改めたいと思います。
8/17、同学会研修の場、佐々木正利さんのバッハのコラールの練習で、大切な言葉に差し掛かる瞬間に、実に不思議なエネルギーの高揚があったのです。翌日18日、下田で<小林道夫バッハ・アカデミー>を聴講。小林先生がこの不思議な表現を指導していらっしゃるではありませんか。佐々木さんの言っていたことのルーツを眼の当たりにし、この内的にして繊細な表現が弟子によって伝えられている現場にも居合わせ感慨深いものがありました。こうした地味な活動に心からの拍手を贈りたいと思います。
次便で8/26(日)午後5時<本郷教会サマーコンサート2012>のご案内を致します。
■ 2012/08/23 肺活量、詩編、サマーコンサート
6年ぶりに聖路加病院の人間ドックを受診しました。身長が低くなっていたのにはがっかりですが、全身のバランスは良くなっていました。肺活量が6年前と同じ数値だったのには我ながら驚きました。
昨夜はシュッツ合唱団の練習で沢山の詩編を歌いました。今年のサマーコンサートは以下の通りです。どの言葉も3000年前のものとは思えません。バッハの「歌え、主に向かいて新しき歌を」を久しぶりに歌い、アリア風の第1合唱に第2合唱がコラールで応答する第2部に改めて感激。文句無しの美しさ、生命の迸り!こういう歌はどんなに暑くても歌えます。
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■ 2012/08/28 サマーコンサート終了
8/26(日)〜詩編歌の夕べ〜無事終了しました。思いがけなく沢山のお客様、いろいろな方が声を掛けて下さったのでしょう。嬉しいことでした。
シュッツ、シャイン、シャイトは生年が1585、86、87とつながっていますので、俗に三大Schと呼ばれています。それぞれの個性がはっきりと音楽に現れていますので、この三人だけのプログラムでも充分に楽しめますが、そこにバッハとメンデルスゾーンが加わりましたので、より多くの方に楽しんで戴けたようです。
合唱は普段のバッハ・カンタータと違って「歌いに歌った」一夕でした。そんな中で1曲だけ演奏された純粋器楽曲、シャイトの<4声の器楽によるパドゥアン>がなんとも素敵な曲で、こんな音楽はもっともっと多く演奏されると良いと思いました。
シャインの《イスラエルの泉》からのモテットはシュッツとは一味も二味も違い、なにか沁みじみとした喜びが湧いて来る音楽、「シャイン合唱団」が出来たら私、入ります、といったYさん、私もわくわく、ぞくぞくといった気持ちです。《イスラエルの泉》は全曲の演奏、是非実現させましょう。
バッハの超名作にして難曲<歌え、主に向いて新しき歌を>は、指揮者曰く「バッハの好みに合わせた」超スピードでアッと言う間に歌い終わりました。爽快の一語に尽きます。
メンデルスゾーンの8声のモテットはこれまた指揮者入魂の演奏、メンデルスゾーンの真価もおいおい認識されることでしょう。
宮崎先生は「詩編」について「悲しみ苦しんでいる人間の心が、ある瞬間から神への賛美に変わっていく」と語って下さいました。音楽は、まさにこの奇跡的な意識の変換を瞬時に知らせる力を持っています。今年のサマーコンサートもまた驚きと恵みに溢れた時間でした。有り難うございました。