■ 2009/10/01 <パウロ>
9/9に帰国したものの、毎日あれやこれやでついに<パウロ>公演前日となりました。
「メンデルスゾーンとバッハの<マタイ受難曲>復活演奏」という原稿を書いたこと、「<エリヤ>の修辞学的考察」という講演をしたこと、などメンデルスゾーン・イヤーとあってやや忙しい日々のなか、明日のプログラムの解説、訳詞を書いていました。整体の阿部先生には「これ以上働いたら死ぬぞ」と脅かされ「メンデルスゾーンより自分を大切に」と諭され乍らも昨日やっと解説その他出来上がり、プログラム24ページの版下を作って印刷所へ。
メンデルスゾーンについて知れば知るほど、随分長いあいだ誤解されてきた人なのだということが分かりました。
■ 2009/10/11 <パウロ>終了!
10/2 まず朝から雨。お昼頃本当のざあざあ降りとなりました。私のせいです。大切な日には必ず雨が降ります。どんな晴れ男、晴れ女がいても私がいるともうおしまいです。ひとつだけ弁解するなら、雨が降った方が結果が良い。この日の<パウロ>もなかなかうまくいったのでは!?
今回の<パウロ>には「セルパン」という木管楽器が初めて登場しました。奏者は我が国を代表するセルパン、テューバの専門家、橋本晋哉さんです。1993年の<パウロ>ではこの楽器がまだなく、テューバを用いました。スコアではファゴットの下に書いてあるパートで、木管群の低音を支えます。かなり太い蛇が身体を右に伸ばしたが壁にぶつかり左に曲がり、またもやぶつかって右に、を繰り返したような姿。セルパンは「蛇」という意味ですが、他の楽器と同じように、外国語をそのままカタカナで表記しますので、「蛇」とは書きません。
歌のソリストに関しては先回の反省点が多々見つかり、今回はソプラノを3名、テノールを2名で役柄を分けて歌うことにしました。このオラトリオにおいて、純粋に一人一役はバスの「パウロ」のみです。ソプラノにはかなり性格の異なる役柄が混在しており、一人で受け持つとなると、声音をどんどん変えてゆくことが要求され、そこだけが名人芸的なものが優先してしまう危険も出てきます。先回は<パウロ>上演そのものがアグネス・ギーベルの発案でしたから、ソプラノは勿論ギーベル先生お一人でした。これはこれで見事な「声」と「歌唱」を堪能することが出来て良かったと思います。テノールは佐々木正利さんが「語り手」「ステファノ」「アナニア」「バルナバ」「イエスの声」をすべて受け持たれました。「パウロ」は宮原昭吾さんでした。