■ 2016/07/26 《女の愛と生涯》FBより
大和美信さんのリサイタル(7/24[日] 16:30 スコットホール・早稲田)でシューマンの《女の愛と生涯》(ピアノ:山形明朗・・ausgezeichnet!! )を聴きました。この歌曲集はご存知のように、ある青年を初めて見た少女が、彼に夢中になり、婚約し、結婚、甘い時を経て身ごもり、赤ん坊を授かって我を忘れるほどの恍惚感に浸り・・しかし、夫は天へ・・・絶望の中で聴こえてくるのは初めて彼に出会った第一曲目のピアノ・パート・・・そうピアノ・パートのみ・・・なんと良く出来た音楽なんだろうといつも思うのですが、これを書いた詩人も作曲家も男性なんでして、まあ、私としては鼻白むわけです。バリトンのマティアス・ゲルネは「《女の愛と生涯》は二人の男性が男の脳みそで考えた作品。この曲は女性のためではなく、男性のための作品だと考えている。」と語り、コンサートで実際に歌いました。
しかし、それはそれとして、大和さんは実に誠心誠意シャミッソーの言葉に共感し、シューマンの音楽を信じ、そしてなにより特筆すべきは、彼女自身がこのような出会い、結婚を経て今に至り、彼女の人生、日常のひとこま、ひとこまをそれは丁寧に歌に反映させていたということなのです。(最後の別れの歌のみは、現在ご主人がお元気なので「いろいろ考え乍ら」と言っておられましたが)こんな幸せな演奏・・・最初から最後迄ただ一人の男性を想って・・・が出来る人は実はそう多くはいないのです。私自身は大和さんのような解釈で歌ったことがないので、非常に新鮮でした。大和さん、リサイタル大成功でしたね。心からお慶び申し上げます。