■ 2012/02/03 1/28 SDG
1/16夕刻成田に到着、そのまま中目黒の教会へ。シュッツ合唱団がGeistliche Chormusik 1648のレコーディング最終回を控えていたため、それに向けての準備でした。昨年9月からの録音でしたが、お蔭さまで1/18、全29曲の収録が完了しました。長い間おつき合いくださった、コジマ録音の小島幸雄さん心より感謝申し上げます。
さて明日は今年最初のSDGです。
■ 2012/02/04 善きことの天よりくだりて
帰国以来息つくひまもなく働きましたぞ、私は。その甲斐あってかここ数日、良いことが続けざまに!
2/25(土)に予定されている横浜教会献堂式に演奏予定のバッハ・カンタータ140番のパート譜が消失していることが判明、2、3日探すも無駄骨。神隠しか?
天崎浩二さんに電話「あの、ひょっとして140番のパーツ、ありません?」「サアテネ、探しましょ。」天崎さんには輸入楽譜の取り寄せで長年ひとかたならぬお世話に。しかも注文していない楽譜を「今、もらえませんか?」などという乱暴な話に付き合って下さる稀なるお方です。しばらくして「ありましたよ、誰かがキャンセルしたんだ。」ウワーイ!! 翌日届きましたよ、パーツが。涙一粒。
さて、リスト《キリスト》には「ハルモニウム」が出てきます。それもここぞ、という所にほんの数十小節。そして最後から2番目に1曲だけ女声合唱とハルモニウムの曲があるのです。これまでになく大編成のオーケストラにさらにハルモニウムとは! なぜ?
調べてみると、丁度このリストの時代に出来た楽器で、パイプオルガンでは出せない繊細なクレシェンド、ディミュヌエンドが足踏みによって出来るのです。透き通った上品で優雅な音色で、リストが好み、使いたくなったわけが分かります。問題はこの楽器を貸し出している業者などなく、個人所蔵、またはごく限られた教会にある、というもの。とても「貸していただけないでしょうか?」などと簡単にはお訊ね出来るような楽器ではないのです。
が、私は勇気を奮って、ハルモニウムのことならこの方、という伊藤園子さんにお電話を。恐るおそる事の次第をお話し、楽譜をお送りしておきました。
そしてついに1/31 園子さんのお宅へ。
嬉しいことに、園子さんは、リストの《キリスト》にはたとえ数小節でもこのハルモニウムの音色は不可欠であるということを即座に理解して下さり、演奏会に出して下さる事に。また長年ハルモニウムの演奏には研鑽を積まれた方ですので、演奏もして下さる事となりました。
こんなことが実現するとは! 一緒に歌わせて頂き、リストが用いたわけが良く分かりました。玲瓏たる響きで女声と良く合います。リストが使った箇所は、主の恵みを感ずる部分、天国を想う箇所、そしてごく少数の者がイエスの復活を告げる場面です。
園子さんとの浅からぬご縁はまた改めて書きますが、今回このようなことで一緒に演奏出来るとは! 涙二粒。
もう一つよい知らせがあったのですが、あんまり書きすぎると逃げてしまいそうなので、これもまた改めて。
なにはともあれ皆様、リスト《キリスト》はお聴き逃し無きよう、今からおすすめしておきます。3月31日(土)午後5時30分 新宿文化センター大ホールにて。
■ 2012/02/19 天国へ
元旦の「スウェーデンのクリスマス・ディナー」で「美味しいね。桃子もスカンディナヴィア人になれるよ!」とお褒めの言葉を下さった桃子の father-in-law, キースのお父さんが2/6朝、亡くなりました。肺炎になって三日目ぐらい、急なことでしたが、86歳で寿命とも言えます。
最後は「ママ! グランマ!」と言っていたそうです。茜が大泣きするのではと心配でしたが、意外と平静で、弟の輝に「天国へ行ったのよ」と説明したとのこと、ちょっと驚きでした。このおじいさん、レイモンドはフィンランド出身、このところずっとフィンランド人教会の礼拝に出席していて、自分の柩をかついでくれる人も頼んであったということです。私は2/11、習志野の文化センターで椎名さんとのコンサートがあり、行くことができませんでしたが、夫の武司が参列しました。
葬儀は讃美歌をア・カペラで幾つも歌い、その間に聖書朗読、メッセージが入る、という形とのこと、体操(舞踊)の先生である92歳、93歳になるおじいさんの二人の姉上は、かくしゃくとしており、今でもフィンランド語に通じ、聖書などはどんどん英語に翻訳して皆に伝えていたとのことです。
遺されたおばあさん、長い看護、お疲れさまでした。寂しいでしょうが、神様の選んで下さった「最上の時」という気もします。これからは茜や輝と楽しい時を充分に過ごして下さい。
_ 山本葉子 [茜ちゃんは、輝くんに「おじいさんは天国へ行ったのよ」とちゃんと説明できたのですね。桃子さんのお父様はきっとまっすぐに..]
■ 2012/02/20 響き
娘の桃子がキースと結婚し、私たち家族がフィンランドの人々と縁戚になる、ということだけでも不思議な出来事でしたが、さらに驚いた事がありました。桃子のお母さんは合唱の指揮者らしい、ということを聞いたこのフィンランドの方々が、お土産に、と私にCDを下さったのです。なんとそれはハインリヒ・シュッツのモテット集でした。彼らは私がシュッツを研究していることまでは知らなかったのに、です。そのCDから流れた歌声は気のせいか我々の声の響きに良く似ていて、シュッツに対して抱いている思いが手に取るように分かる演奏でした。
声の響きといえば、2/11(土)、習志野文化ホールで行われた椎名雄一郎さんのオルガン・コンサートで、バッハのカンタータから名曲を選んでパイプ・オルガンと共にシュッツ合唱団・東京も歌ったのですが、そのあとのCD販売+サイン会のテーブルに、実に懐かしげな眼をして近付いてこられた老青年がおられました。この方は、その昔、皆川達夫先生の朝のバロック番組で私たちの演奏したシュッツの《マタイ受難曲》(当時はまだLPでした。)を聴き、その響きがずっと記憶に残っていたが、今日聴いたシュッツ合唱団はまさにこの記憶と同じ響きだった、とそれは嬉しそうに語って下さったのです。感動!
この響きは私たちが創ったものではなく、その昔シュッツを動かしたなにものかが今もせっせと働き、私たちにもその力を注ぎ込んでくれていることによって生まれた恵みの響きという気がします。フィンランドのCDから伝わってきたのも正にこの響きでした。
_ 豊田紀子(旧・野沢) [淡野先生、大変ご無沙汰いたしております。バッハコンソート設立当時お世話になったものです。今度の習志野でのオルガンとの..]
_ Y.TANNO [まあ、お懐かしい! 紀子さん! 今日、コンサート終演後のサイン会にいらして下さいましたね。びっくりしました。有り難う..]