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ムシカWeb通信


■ 2017/10/25 師の教えたまいし歌

 高校の音楽の時間、端正なスーツ姿の ”輝氏” こと岩永輝先生は「シューベルトの音楽などは日常でいくらでもお聴きになれるでしょうから、やはり授業ではこういうものを」と仰って、教科書はリスト、ブラームス、グノー、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、グリーク、ヴォルフらの歌曲がずらりと並んだ近代歌曲のアルバムだった。私たちは放課後も音楽室でそれらの歌を次々に歌っては「いい曲!」「すごい!」と興奮していたのだった。こんな時、どんな面倒な譜面でもすべて初見で伴奏してくれていたのがS子さん。

 先週は彼女と来週同窓会で歌う歌曲を合わせ、なんといっても岩永先生は本物を教えて下さったという話になり、ほぼ同時に口をついて出たのは「ヴォルフ!」だった。ヴォルフの《隠遁》や《園丁》は良く歌った。私が今歌っているドイツリートの大半はこの曲集に入っていて、ボロボロながら今も大切にしている。そして、岩永先生にはどれほど感謝してもしきれないという憶いで眼が霞む。

 明日はいよいよ同窓会。S子さんとの30分コンサート。岩永先生を知らない人は一人もいないはずだ。そうだ、トークは岩永先生についてにしよう。


■ 2017/10/26 中学同窓会@80歳記念 10/25 於:国際文化会館 FBより

 先生のご出席は毎年いらしてくださる生物の桜井先生@98歳! 先生は毎日自炊@お得意はゴーヤチャンプル。朦朧としたところ皆無。割れんばかりのハイ・バリトンで「こんなに元気な80歳の同窓会は初めてです。ぜひ来年もがんばって下さい。」とのお言葉。

 S子さんのピアノと私の歌で30分のミニ・コンサート。ドイツリート大好きの人が多くてビックリ。Y子さんが私の席に来て、いきなり彼女のバッグから中身を全部外に出し「このバッグを差し上げたいの。歌があんまり素敵でなにか御礼にと思ったけれど、これしかなくて。私が作ったものです。」と。それは黒の綸子の布を8センチ四方の袋状に縫ったものを何枚も花びらのように繋ぎ合わせたもので非常に手が込んでいる。私は驚いて「あなたのものはどこにしまうの?」と訊くと「いえ、こんなものはビニールの袋に入れて帰ります。」

 私はこの2、3日、あんまり物を落とすので、バッグを変えないと、と思っていたのです。本当に嬉しかった。Y子さんは中学時代「ラジオで素敵な声を聴いたわ。フィッシャー・ディースカウというバリトンよ。是非聴いてね。」と教えてくれた人。中学時代からの古い友達たちとはいえ、今日はまた新たに素晴らしい方々に出会った気分。感謝!!


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