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ムシカWeb通信


■ 2009/07/08 「シュッツ合唱団の40年」

 お久しぶりです。実はある機関から依頼を受けた「シュッツ合唱団の40年」というレポートの締め切りが6/30だったものですから、ブログもすっかりご無沙汰してしまいました。当初は一挙に40年分を書くつもりでがんばったのですが、これは甘かったですね。1968年4月の創立から1971年12月までで5500字、いずれにしろ40年間を一回ではとても無理だということが分かり、お願いして、連載で、というお許しを戴きました。なにはともあれほっとしたのですが、ちょっと落ち着いて単純計算すると、またもや脳に血が昇ってしまいました。

 5500字で45ヶ月分、12ヶ月分はおよそ1600字、1600字×40年で64000字、一回の連載がおよそ5000字とすると、あと12回を要します。この会報は年2回発行とのことですので、2015年の7月までかかるのです。寿命の心配、恐怖の記憶力減衰などなどを思い煩うまえに、さっさと書き上げてしまわねば。

 おおよその目処が立ったのは良かったのですが、これから先、話はふくれる一方のような気もします。とくに気になるのはアグネス・ギーベルとの12年間です。今ここで言ってしまっては身もふたもないのですが、筆舌に尽くし難い体験でした。「筆舌に尽くし難い」という言葉だけがひょいと出てくるところが恐ろしいのですが、「ギーベル体験を書かずして何が記録か!」と魔物が叫ぶ。ハ、ハイ、書きます。皆様、失礼。

コメント(1) [コメントを投稿する]

_ 谷口正 [おお、ようやく書き始められたのですね。シュッツの500曲演奏に際しての、後世への良き手引き書にもなるよう期待しており..]


■ 2009/07/17 ジルバーマン・モデルによるフォルテ・ピアノ

 今年の本郷教会サマーコンサート(8/23 土 午後5時開演)には、ジルバーマン・モデルによるフォルテ・ピアノという珍しい楽器が登場致します。どんな由来のものかをご紹介しましょう。といっても私自身はピアノの専門家ではありませんし、音楽学者でも歴史家でもないので、ここから先はすべて当日の奏者武久源造さんから聴いた話です。

 そもそもオルガンの名工ジルバーマン(1683〜1753・・・J.S.バッハより2年早く生まれ、バッハより3年長生きした同時代人)の製作したフォルテ・ピアノは、現在ポツダムのサン・スーシ宮殿の博物館にたった1台残されており、この楽器はフリードリヒ大王が注文したものとのことです。大王はこの楽器を大層気に入って、多い時は宮殿内の15の部屋に1台ずつ置かれていたとのことです。しかし今は、残されたこの1台も演奏出来る状態にはないとのこと。

 バッハは1747年5月6日にジルバーマン・ピアノを弾き、フリードリヒ大王も聴いた、という記録があり、またバッハは何度もジルバーマンにあそこが悪い、ここを直せと注文をつけ、ジルバーマンが直したものは気に入ったらしいとの伝聞も。

 ではどんなピアノか、というと、パドヴァ生まれのクリストフォリ(1655〜1731 ピアノを発明した人)のピアノを丸ごとコピーしたかと思えるほどそっくりだそうです。クリストフォリより先へ進んでいるところは、弦を軟鉄弦にし(クリストフォリのピアノは真鍮弦)、チェンバロのレジスターを付けたところで、これは演奏家であるバッハの進言によるものだったのでしょう。

 さて、では何故このジルバーマンをモデルにしたフォルテ・ピアノが武久さんのスタジオにあるのでしょう? 武久さんは各種鍵盤楽器のそれぞれを愛し慈しんで、その楽器ならではの音を引き出す才能の持ち主です。シュッツ合唱団の1985年東西ドイツ演奏旅行の際、楽器博物館の古色蒼然とした多種多様の楽器の前に座ると手で楽器をひと撫でし、鍵盤の下の仕掛けに触れ、楽器の性質を掴むや否やあっと言う間に一曲奏で、さらに次の楽器へ。それぞれの楽器から聴こえてくる初めての音色と、演奏された音楽が心憎いまでにマッチしていて、居並ぶ人々を唖然とさせたのを忘れることは出来ません。以来帰国してからも、彼はこの曲にはこんな楽器、ということに熱中し、チェンバロ、クラヴィコード、ヴァージナル、フォルテ・ピアノ、アンティーク・ピアノと、天沼の彼のスタジオにはいつも5、6台の鍵盤楽器が並び、部屋の一角には工作台が置かれ、床には工具、ワイヤー、木材などで小工場のようです。

 武久さんはバッハやヘンデル、またモーツアルト、シューベルトといった人々の音楽をいろいろな鍵盤楽器で試しているうちに、どうしてもバッハが弾いたらしい「ジルバーマン・モデル」のピアノが弾きたくなり、篤志家の協力を得て、新進気鋭の鍵盤楽器製作家、深町研太さんに製作を依頼し、ついに楽器が出来上がったというわけです。

 さらに部屋の隅には、まだ毛が生えたままの鹿の皮一頭分が紙袋に無造作に詰め込まれていました。武久さんはこのフォルテ・ピアノのハンマー1本1本に、自分で鞣した鹿の皮をくるりと巻き付けては音を出し、という作業を繰り返し、また繰り返して、自分の気に入る音を探っています。鹿の身体の各部分はそれぞれに堅さ、柔らかさが異なり、そのそれぞれを試しているというのです。

 私はこのフォルテ・ピアノと共にシューベルトのリートを幾つか歌ってみましたが、「トゥーレの王」「グレートヒェン」などとの相性は抜群でした。

 こんなわけで、8/23(日)午後5時開演の本郷教会サマーコンサートでは武久氏の演奏でこのフォルテ・ピアノを皆様にお聴き戴くこととなりました。バッハの、2本のリコーダーとのコンチェルト、シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータより 武久源造編曲)などが演奏されます。プログラム詳細は近日中にスケジュール欄にてお知らせ致します。[本郷教会:杉並区上荻4-24-5 T.03-3399-2730]

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■ 2009/07/30 メンデルスゾーン<パウロ> カナダより 太田浩子 

 今年はメンデルスゾーンの生誕200年、世界のあちこちでメンデルスゾーンの音楽が響いています。私たちも10/2には<パウロ>を演奏すべく、只今淡野太郎のもとでメンデルスゾーン・コーア、シュッツ合唱団は猛練習の日々。

 さて、普段はモントリオールにお住まいの太田浩子さんは、2007ー2008年にかけての1年間東京暮らしをされることとなり、この間アクアリウスとメンデルスゾーン・コーアのメンバーとして合唱活動に参加されました。カナダに帰られてからも、教会の聖歌隊を始め、様々な場で熱心に歌っておられます。このたび5年前からの望みであったという念願の<パウロ>を遂に大ステージで! 嬉しいお便りでしたので、お許しを戴き、皆様にお目に掛けます。                                                  

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