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ムシカWeb通信


■ 2017/05/04 夜鶯とスクエア・ピアノ FBより

 今月末のコンサートで私は「Nachtigall:夜鶯」の出て来る歌ばかりをスクエア・ピアノと共に歌うこととなり、武久源造さんのスタジオで合わせてみました。楽器はシューベルト時代のオリジナルだそうで、それはクリスタルな響きです。当時室内で家族的な愉しみのために造られ、どんなにフォルテで弾いても大きな音がしないのでリートの伴奏などで活躍したようです。

 シューマンの《リーダークライス》からナハティガルの出て来る終曲 ,,Frühlingsnacht:春の夜" を歌ってみますと、あの16分音符の3連符が連打されるピアノ部分が今迄に聴いたことのないような響きです。ハッとしました。それはドイツで生まれて初めて聴いた 夜鶯の声そのものだったのです。50数年前、6月の湿っぽい夜半、カシャ、カシャ、ツィフィツィツィと休むことなく啼き続ける Nachtigal に私は仰天しました。小夜啼鳥などという名前とは似ても似つかぬ声でした。そうか! このピアノ・パートは「夜鶯」の鳴き声! そうだったのか! ピリオド楽器というものの伝えることに、これからも注意深く耳を傾けたいと思います。


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