サイトのTopPageに掲載されておりますように、来る3/18(金)には毎年レントの季節に行っている<受難楽の夕べ>を開催致します。今年はデマンツィウス(1567-1643)の《ヨハネ受難曲》をメインに、シュッツ(1585-1672)の《小宗教コンチェルト》ほかを組み合わせたプログラムです。バッハの《マタイ》《ヨハネ》などでは、受難の事実を伝えるだけでなく、人間の側からの祈りや瞑想がアリアとして歌われ、その部分だけが音楽として好まれたりもしますが、今回は「イエスの受難」というテーマを巡る ”預言”、”瞑想”、”祈祷”、そして福音史家ヨハネの伝える ”事実の記録” がそれぞれ独立した楽曲によって演奏されます。
デマンツィウスの《ヨハネ受難曲》ではヨハネによる受難の記事がすべてア・カペラの合唱によって歌われます。イエスもピラトも合唱です。ソリストに任された部分が一切有りませんので、合唱団はテキストの全てを把握し表現せねばなりません。難しい課題ではありますが、このようななスタイルの受難曲によって考えが整理され、技術的にも鍛えられるので、シュッツ合唱団では数年に1度このような曲を採り上げるようにしています。演奏する側の事情はともかく、強靭で劇的な緊張感に溢れた17世紀の名作の数々をどうかお聴き戴きたく、謹んでご案内申し上げる次第です。