なんと7週間もご無沙汰でした。今年は年明け早々なにやら身辺慌ただしく、生活もかなり変り、まとまりのない日々が過ぎて行きました。自分自身の備忘録も兼ねて、なにが起こったかを記します。
10年越しの「バッハ」についての本、最終校正の締め切りが1/6だったので、年の明けたのも気付かず、校正にかかり切りでした。日本のキリスト信者が普段使っている表現でも、分かりにくい言葉が多く、いかにすべきか・・・田川健三氏の『新約聖書』は随分役に立ちました。
元旦の朝、ドイツ語福音教会(クロイツ教会)の新年礼拝に出席。久しぶりに聴くドイツ語の説教が新鮮でした。「便り」でも触れましたが、昨年の末、カントライの指揮者に、ということで話が進み、初練習は1月21日からとのこと。
1/14 ベート−ヴェン《交響曲第9番》演奏会。大雪。皆当然のように私の顔を見ては「やっぱりね」という表情。雨女がついに雪女に、などとも・・・それでも熱心なお客様に見守られ無事終了。
1/19 武久源造さんのラジオ番組の収録でNHKの青山のスタジオへ。チェンバロとクリーガー、1814年のピアノに合わせてシューベルトを歌ったのですが、これは実に難しい仕事でした。太郎も《菩提樹》を歌いましたが、全く慌てず泰然自若。私はまだまだです。
1/20 小林道夫先生が私のスタジオにいらして下さり、リサイタルの全曲目を練習。太郎にも聴いてもらったのですが、「歌い過ぎだ。2、3日黙って声を休めるように」と2人は同意見。辛いことだが仕方がない。思い切って休むことに。
1/21 カントライ初練習。ドイツ語での練習も久しぶりのこと。留学中、ドイツで教えていた聖歌隊、ポルトガル語でシュッツを教えたリオ、ワシントンD.C.で英語、ドイツ語を代わる代わる使いながら悪戦苦闘したゼンガー・ブントなどなど、普段忘れていたことをつぎつぎに思い出しました。面白いものですね。
1/22 「アクアリウス」の練習に行き、発声の基本的なことを教えている間に、私自身があらぬ方向へ進みかけていたことが分かり、この日仕事があったことに感謝しました。3日前、1814年のピアノに合わせ、自分らしからぬ声を出そうとしていたことに気付いたのです。
1/23 シュッツの練習を見に行きました。月、火、水と合唱の響きを聴き、自分以外の人の声から大きなエネルギーをもらいました。歌をひとりでさらい過ぎたことを反省。
1/25 気持ちはだんだんに落ち着き、譜面を見乍らゆっくり静かに歌う。「より良く」とは願っても「より巧く」とは願わないように。初めて譜面を見た時のような心の状態が大切。ブラームスの「雨の歌」には ‘無垢な子供の心のおののき’という言葉があり、気に入っている。表現できるかどうか?
1/26 長年シュッツ合唱団の写真を撮って下さっている風間氏より「第九」のDVDアルバム、全932カットが届きました。まぎれもない記録写真ですが、私は一篇の詩を感じました。リハでは皆の顔にすでに高揚感が漂い、Zeger 氏と椎名さんのステージは実に幻想的、そして次に現れたのはなんと外の雪景色!!! このブログの画像処理がうまくゆかず、お見せ出来ないのが残念です。
1/30 平凡社より、企画会議の結果、新書のタイトル・定価ほかが決まったとの知らせ。タイトルは『バッハの秘密』、定価は840円(税別)。3月15日配本。
今日はここまでにします。音楽プロデューサー薮田益資氏がClassicNewsというサイトで、『バッハの秘密』について丁寧に紹介して下さいました。インタビューもご覧になれます。http://classicnews.jp/