トップ «ミネアポリスから 最新 ポーリーヌ・ヴィアルド»

ムシカWeb通信


■ 2011/06/11 聖霊降臨祭

 今年は6月12日(日)が聖霊降臨祭。イエスが復活されて50日目に激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえ、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上に留まり、人々は聖霊が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話だした、という事実を記念してこの日はクリスマス、イースターと並んで、ペンテコステはキリスト教会の大切な祝祭日となっている。以前から私は「ほかの国々の言葉で話だした」(使徒言行録2;4)という記述に強く惹かれていた。人間に与えられた言語能力を知らされているように思うからだ。

 日本国において外国語は、学ぶ事は非常に奨励されているが、日常的に話したり、外国語で表現活動を行うことはそれほど好かれてはいないように思う。「気取って」とか「所詮ネイティヴには敵わないじゃないか」に始まり「日本人なんだから日本語でお歌いなさい」などなど、わが半生はこんな言葉との戦いだったようにすら思える程だが、落ち込んだり頭を抱えたりする間は無かった。この問題を語り出すと、恐らく私は残りの人生すべてを使い尽くす事になりそうなのでここで止めておく。

 桃子は水、木、金、土と“Glocal Mission Gethering”という興味深いミーティングに参加していて、いろいろな国の人に日本語の讃美歌を教えたり、さまざまな国の人や歌に接し、ディスカッションに加わって、目の覚めるような日々を送っている。Glocalとは globalとlocalを合わせた新語だそうだ。global といってもこれまでは、ヨーロッパ系の白人たちが「これが音楽」と言ってきたもので、そこにはアジア、アフリカほか多くの民族の音楽は入っていない。また逆に、われわれの歌っている日本語の讃美歌はほとんどが5線に書かれたドレミファの音楽なので、桃子はフト気付いて柴田南雄の《宇宙について》を引っ張り出し、隠れキリシタンの歌っている「キリヤデンズ」(「キリヤデンズ」は「キリエ エレイソン」が徐々に日本語に訛ってきた言葉)などなどのオラッシャがひょっとして日本最古の讃美歌かしらん、などと考え込んでいた。

 参加している人々は、黒人アメリカ人のヴァイオリニスト、プエルトリコのドラマー、シンガー、ホンジュラスのギタリスト、ジンバブエのベーシスト、白人アメリカ人のトランペッター、シンガー、トンガの音楽家、韓国人歌手などなどで司会はインド人とのこと。アフリカの音楽家はわれわれの歌には ‘決して’ オルガンで伴奏しないで、と釘を刺したそうだ。歌は太鼓と一緒に歌うものとのこと。現行の日本キリスト教団の『讃美歌21』には多国籍に亘る讃美歌が網羅され、そこにはアフロの歌も入っていて、礼拝でも歌ったことがあるが、オルガン伴奏でしたね。「太鼓で」と断り書きがあれば、『讃美歌21』も『21』の名に恥じないものとなるだろう。その昔、讃美歌委員会の講習会で「教会で三味線で伴奏するということが ‘あり得ない’ 以上、ここでオルガンを教えているのです。」とキツく言い渡された事を思い出してしまった。このテーマもこの辺で止めておこう。

 そう、6/12(日)に戻ろう。午後6時より上荻の本郷教会でSoli Deo Gloria<賛美と祈りの夕べ> Vol.266が開催される。

[曲目]

H.シュッツ:「宗教合唱曲集」より 第10曲 <涙とともに種まく者は>

J.S.バッハ:カンタータ第44番 <彼ら汝らを除名すべし>[復活祭後第6日曜日(Exaudi)のためのカンタータ]

J.S.バッハ:カンタータ第172番 <歌よ、響け>[聖霊降臨祭第1日のためのカンタータ]

H.シュッツ:「宗教合唱曲集」より 第12曲 <神はそれほどまでに世を愛された>

[出演]

ソリスト《BWV44》ソプラノ 今村ゆかり  アルト 羽鳥典子   テノール 依田卓  バス 細川裕介

    《BWV172》ソプラノ 大和美信  アルト 柴田圭子  テノール 星野正人  バス 中川郁太郎

器楽:ユビキタス・バッハ

トランペット 中村孝志/上倉武/中村肇  ティンパニ 鈴木力

オーボエ 後藤望実/中原徹郎  ファゴット 森本敏嗣

ヴァイオリン 若尾紀子/大野幸/川畑淑子  ヴィオラ 谷口勤

チェロ 三浦絢子  コントラバス 松永秀幸  オルガン 山口眞理子

合唱:ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京 & メンデルスゾーン・コーア 有志

S 今村ゆかり/櫻井尚子/柴田圭子/巽瑞子/大和美信

A 秋山百合子/影山照子/栗川三千子/小西久美子/佐藤道子/高梨愛子/武井紀子/田畑玲子/戸井恵子/

  中村光子/松井美奈子

T 星野正人/依田卓

B 中川郁太郎/中村誠一/細川裕介

指揮:淡野太郎

 

 当日の演奏者すべて日本人(のはず)ですが、歌は全て‘ドイツ語’で歌われます。特に最後のH.シュッツ:<神はそれほどまでに世を愛された Also hat Gott die Welt geliebt>は全器楽奏者と全歌手が共に歌います。現場に居られないのは残念至極。健闘を祈ります。  ミネアポリスから 淡野弓子

コメント(4) [コメントを投稿する]
_ 大野幸 2011年06月12日 22:33

朝の礼拝に、VaのTさん出席されました。<br>Alsoでは、ふいご手のGZさんも参加。<br>記憶に残るペンテコステでした。

_ Yumiko Tanno 2011年06月13日 01:03

な、なんと!! 驚きと喜びで身が震えます。

_ こにしくみこ 2011年06月20日 09:52

もうそろそろお帰りになられる頃ですね。<br><br>こちら蒸し暑いなか 本郷で汗を流しております。・<br><br>残りの人生すべてを使い尽くす話題 ワタシも大変興味があります。語ってくださーい。  笑

_ Yumiko Tanno 2011年06月21日 08:45

こにしくみこさま<br>「大変興味があります。」とのお言葉に、おっちょこちょいの私は唇と舌がムズムズとして来るのですが、ここで下手なことを言うと一生かかっても弁明しきれない程の攻撃にあう恐れがあります。このテーマについて頭を離れない単語は「和魂洋才」です。そしてわたしは「洋魂和才」という言葉を自分で造りこの2つの単語のあいだで毎日これでもいろいろ考えているのです。6/27に帰り29日には皆様にお目に掛かります。よろしく!


編集