Mozart の 《Das Veilchen すみれ》と 《Abendempfindung 夕べの想い》を歌いました。この2曲、実は私としては大冒険でした。特に「すみれ」は言葉と音型が分ち難くひとつに結ばれ、微細にして永遠に広がる完全美の世界。ドイツリートのアルファにしてオメガといってよいと思います。また「夕べの想い」では同じピッチが繰りかえされていても、ピアノの和音は一音一音変って行くので声の彩は虹のごとくに変化。それは黄昏から夜の闇に向かう一刻一刻であったり、詩人の心の内の想いであったり・・・。
ここで技術的に実に明解な指示を与えてくれるのが「セディエの声のチャート」です。恣意的てあったり、その場の思いつきなどではない、確信に基く音を選んで歌えるということの有り難さ! マニヨン先生がセディエを伝えて下さったことに改めて感謝致します。先生は“Yumiko, we understand each other! ”と。私はまたもや人生最高の喜びに包まれたのでした。