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ムシカWeb通信


■ 2010/04/29 天恵

 飛行機に乗り込みました。機体に故障が見つかり、点検後に出発、との放送。嫌な予感。しかし、たった一人で帰るとはこんなにも楽なものか。その上思ったより空いていて私の右となり二つ空席。

 なぜ一時帰国(?)するかというと、5/3, 5/8, 6/3とコンサートが三回あるのです。それも二回が完全なソロのリサイタルです。孫二人を相手にこの準備と練習をする毎日でした。これぞ超絶技巧。最初は「TVが聞こえないから止めて!」となまいきを言った茜も、私がマニヨン先生のレッスンを受けているのを目の当たりにして以来、文句を言わなくなりました。「なぜ練習するの?」とうるさく訊くので「練習しないでうまくなった人はいません」と言うと「アァー」としおらしい。輝は練習の間は腕に抱いているので、歌い終わると腕の痛み、肩の凝り、ギックリ寸前の腰。桃子も蝶々さんが子供を抱いて歌う場面は、先生に輝を抱いて、と言われ、我が子を胸に歌っていました。生きている子は舞台でのお人形よりずっと歌いやすいとのこと。

 今回はマニヨン先生のレッスンというまことに特別な天の恵みがあったので、私も気が狂わずにすみました。しかもこの年になって初めて教えられたことが三つもあり、今、いささか唖然としています。

 実は先週二度目のレッスンで<女の愛と生涯>全8曲が通りました。先生は私の解釈を気に入って下さり、これは私の録音よ、と仰ってこの<女の愛と生涯>とワグナーの<ヴェーゼンドンクの詩にとる五つの歌>のCDを下さったのです。

 気品、客観性そして暖かみ。「深い声」という言葉を私もよく使いますが、私はマニヨン先生のお声から本当の深さを知りました。先生の門下からジェッシー・ノーマンが出て来た、というのも良く分かります。

 次のレッスンでCDの御礼を申し上げ、感想を述べると「私は教えているように自分でも歌いたいと思っているの」とのお答え。この言葉は平易かつ簡明ですが、これを実行出来る声楽教師は実は稀なのです。

 

 皆様、「バッカじゃん」と言われても、天の風が吹くまでは決してあきらめずに勉強をお続け下さい。

 飛行機は1時間遅れで無事成田に到着。お目もじを楽しみに。

コメント(2) [コメントを投稿する]
_ claudia 2010年05月01日 09:38

弓子先生 お帰りなさいませ。マタイ以来あっという間の一ヶ月余でしたね。私も「ばっかじゃん」道で先生の背中を追いかける<br>日々です。うふふ。

_ Y.TANNO 2010年05月06日 06:59

Claudiaさま 全くどうしてこうどんどん時が過ぎて行くのでしょう? でも「声」に関して光が見えて来た時ほど嬉しいことはありませんね。私は今、そのさなかに居ます。練習を始める時に、「どの音から始めようか?」「うまく行くかな?」という不安から解放されたのは実に大きなことです。今度詳しくご説明しましょう。


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