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ムシカWeb通信


■ 2016/12/30  “The Story of Crow Boy” (からすたろう物語)のこと

 日本にとっては原爆と敗戦、アメリカにとっては大勝利の第2次世界大戦終結時の様子を日本に生まれた‛やしまたろう′が米国人として戦った筆舌に尽くし難い体験とたろうの代表作『からすたろう』の物語がからまった重層の台本(Steven Epp)、それを人形と人間が同じ舞台上で演技する作品(演出 Sandy Spieler)である。桃子の役は八島太郎の妻である光。太郎(Masanari Kawahara)と光の間に娘ももが生まれる。太郎はももを主人公にした絵本『あまがさ』を描く。

 さてここミネアポリスの桃子の部屋には‛やしまたろう′の『あまがさ』が大切に飾られている。彼女の誕生を祝って私の友人ピアニストS子さんが下さった絵本だ。物心ついた頃から桃子は『あまがさ』を大切に扱い、ももと自分を重ね、八島太郎の描いたももの顔が自分に似ていることに驚いていた。40数年を経てさらに大きな驚きが待っていた。桃子がこのももの母に扮し、ももがこの世に誕生するシーンを演じたのだ。さらに本当のももさんがこの芝居をわざわざカリフォルニアから観に来て下さったとのこと。桃子の『あまがさ』にはももさんから桃子に宛てたメッセージが記されていた。なんという不思議な巡り合わせ。こういう事を眼のあたりにすると私は暫く身体が硬直し脳が痺れ時間感覚を失う。

 12/25付Star Tribune紙1ページ全面に今年の との見出しで2人の批評家がそれぞれ10の演し物を推薦。そのひとつに今年の2月、ここミネアポリスで上演された “The Story of Crow Boy” in the Heart of the Beast が載っていた。


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