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ムシカWeb通信


■ 2010/07/25 梅津時比古さん「日本記者クラブ賞」受賞

 ご存知梅津時比古さんは毎日新聞の音楽記者で「音楽」を「言葉」と「活字」で一般読者に伝える方です。今回受賞された「日本記者クラブ賞」は非常に大きな賞で、これまで音楽畑の人は受賞したことがなかったとのこと。その賞を受けられたというので、去る7月16日に記念パーティがありました。梅津氏と同年輩からずっと上の世代の男性が多く集まり、そろそろ九十歳になられるという畑中良輔先生も「梅津さんの本質は詩人、文学青年、青いところが良い。その昔、彼は夜散る桜の花を見て‘狂気’を感じる、と書いていたが、この感性は並のものではない」と祝辞を述べられました。なんといっても驚いたのは畑中先生の、若々しく丸みを帯びた、ハイバリトンというよりはテナーに近いようなそのお声! 今まで伺った先生のトーンの中では最も高く澄んだ響きで、心の自由さが舞い舞うようでした。良い音とは歌っても喋ってもその時間が天からの贈り物のように感じられるのです。

 梅津さんは、演奏の評価ではなく、自分が聴いてどう思ったかを文字にする、と仰っておられ,成る程と思いました。しかし自分で書いてみるとよく分かりますが、音楽を文学に変換するのは実に難しい作業です。「歌うから聴いて」と言った方が早い。しかしこれも経験ですが、「文字になった音楽」を好む方は、音楽そのものを聴く方々何倍もいらっしゃるようです。「想像の音」のほうが美しいのでしょうか?

 いや、ここでめげては「現役」の名がすたる。8/22(日)午後5時から本郷教会(東京都杉並区上荻4-24-5)でサマーコンサートが開かれます。バッハ・カンタータ35、メンデルスゾーンのモテット<深き渕より>、シュッツのシンフォニエ・サクレほかのプログラムです。また9/17(金)午後7時には東京カテドラル聖マリア大聖堂(東京都文京区関口三丁目)におきましてシュッツ<白鳥の歌>全13曲(詩編119/詩編100/ドイツ語マニフィカト)をア・カペラでお届け申し上げます。詳細はほどなくSiteにて。

 では皆様、この桁外れの夏をなんとか乗り切ってコンサートでお目に掛かりましょう! お元気で!


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