Ballet Minnesotaの《Nutcracker》計7回の公演が日曜日の夕方に終了し、バックステージの重労働で半死半生だった桃子もやっと一息です。孫の茜はおもちゃの兵隊役とラゲディ・アン人形役を日替わりで、また小姓役を毎回踊るということで、弟の輝はどうしても両方観るといってきかず、土曜日昼夜2回鑑賞。茜は失敗もなくチャーミングな舞台を務め、終ったあとも淡々としていて、随分大人になったなあと思いました。輝は2回とも難しい表情で舞台から目を離さず、どこが違うとか遅れてるとかとても7歳児とは思えぬ言葉を吐くのです。この辺は4、5歳の頃からバッハの《ヨハネ受難曲》のオケの練習に欠かさず出席し、誰が間違った、誰が遅れた、とうるさかった家の誰かさんにそっくりです。
そして今日、夕食後に「Showが始まります」と子供たち。決められた席に座ると灯りが消え、輝がマイクで「皆さん、ようこそ! ナット・クラッカーが始まります。」と挨拶。《胡桃割り人形》の音楽が流れ、すでに序曲で動かぬパペットの「ラゲディ・アン」登場です。それから茜は各場面の登場人物を次々と一人で踊り、クララが胡桃割り人形を貰って喜ぶシーンでは、輝がさっと人形を差し出し、自分はフリッツとなって共に踊ったのです。さらに輝は部屋の灯りを点けたり消したり、また手には小さな懐中電灯を2つ持って場面毎にそれは繊細な照明操作! こうやって2人でクララが夢から覚める迄を踊り続け、父親に「宿題をしなさい!」と言われ渋々幕。
あとで尋ねると、茜はほとんどの登場人物の振りを覚えているとのこと。輝はどこでだれが何をして次はどうなる、ということを全て知っていて、もう明日にでも演出が出来そうな勢いです。Ballet Minnesotaでは毎年クリスマス・シーズンには必ず《Nutcracker》を上演し、子供たちも「マウス」「天使」「ラット」などと段々に役が難しくなって行くそうです。このバレエ学校は5年目の茜ですが、こうやって毎年同じ演し物で先輩たちの踊りをじっと観ていることも大切な修業の道程なのですね。私にとっては、驚きと喜び、反省と奮起の実に思いがけない1時間10分でした。