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ムシカWeb通信


■ 2016/11/07 ヘレン・ケラー記念音楽コンクール  FBより

 第66回 ヘレン・ケラー記念音楽コンクール 11/5(土)トッパンホール 

 毎年11月に開催される盲学生のための音楽コンクールです。優勝者としてヴァイオリンの和波孝禧氏、鍵盤の武久源造氏など、驚くべき才能を輩出したコンクールですが、近年またまた素晴らしい少年少女が毎年出場しています。ピアノのS君は小学生時代から聴いていますが、なんとも魅力に溢れたパフォーマーです。ピアノの椅子に腰掛け足をブラブラさせながら顔を客席に向けたまま、笑い乍ら話をするようにピアノを弾くのです。確かに彼は全盲ですから譜面を見る必要も鍵盤を確かめる必要も無いのでこんな余裕があるのですね。我々に真似の出来る事ではありません。今はもう中2、今年もドビュッシイの《子供の領分》からゴリウォーグのケークウォークを弾き第一位。

 声楽部門ではほんのちょっと姿勢を変えればもっと声が出るな、と思った少年がいまして、どうしてもひと言声を掛けたいと思い、終ってからロビーを探しました。いました!「あのね、N君、歌う時の立ち方を教えるから私の腰に手を当てて見て。」腰の角度を変えると胸がパッと開き首が真っ直ぐになりました。「歌ってみて」というと彼はアアアーーーと。彼も驚くほどの良い声が出ました。お母さんは「もう1度歌わせてもらえないかしら」と。「忘れないでね」といって別れました。

 このコンクールの素晴らしいところは、耳が目の役目もしているので、お互いに気を付け合っているのでしょうか、会場で余計な音が聴こえずピリッとした空気に包まれていることです。授賞式もそれは静かです。合唱コンクールに出場する晴眼者たちは1度このコンクールを聴くと良いと思います。


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