今年の東京は満開の桜とイースターが重なってそれは麗しくも豪華な復活祭となりましたが、その三日後に雪が降りました。
皆様、ご機嫌いかがでいらっしゃいますか?
2015/3/1(日)午後6時30分
ルーテル市ヶ谷ホール
<19世紀合唱音楽の夕べ>[指揮 淡野太郎]
メンデルスゾーン・コーアはこれまでシュッツ合唱団ほかのグループとの共演で、メンデルスゾーン《パウルス》、《エリアス》、リスト《キリスト》、シュッツ《ダヴィデの詩編曲集》などなど数々の大曲の演奏に参加してきましたが、単独のコンサートは今回が初めてでした。
前半はメンデルスゾーンの合唱、重唱、独唱曲に捧げられ、後半はメンデルスゾーン以降の19世紀の作曲家、ブラームス、ブルックナーさらにフランク、フォーレの宗教作品が演奏されました。
ア・カペラ作品では周到に和声が構築され、メンデルスゾーン・コーアならではの音色でした。ある作曲家に敬愛の念を持って、幾つもの曲を集中的に練習すると、その作曲家の用いた和声によって合唱団が独自の響きを獲得するように思います。伴奏にはオルガンが用いられたことも、当夜の特色の一つでしたが、オルガニストの椎名雄一郎さんは「ドイツ歌曲大好き」とのこと、良いアンサンブルで麗しくも楽しい夕べとなりました。
東京カテドラル聖マリア大聖堂
<受難楽の夕べ>
シュッツとペルトはこの世の時間では350年の年齢差ですが、 どちらが古く、どちらが新しいなどということを感じさせない響きでした。彼らがそれぞれに発見した音と響きの法則が、同じ根から生まれたものであることを感じ、改めて天地万物の創造主を思いました。大聖堂一杯に溢れた響きは人間も音楽も突き抜けた遥か先を示す振動、演奏とは永遠の時と生命と共に在るものとの感を深く致しました。客演して下さいましたヴァイオリン・瀬戸瑤子、ヴィオラ・長岡聡季、チェロ・室野良史、テノール・及川豊、バリトン・浦野智行の諸兄諸姉の素晴らしくも献身的なご協力に、またお聴き下さいました皆様、遠くまた近くでお支え下さいました方々に心から御礼申し上げます。
クロイツ教会(東京・五反田)
MUSIK in der PASSIONSZEIT
<受難節の音楽会>
《連祷》H.シュッツ SWV458
《ヨハネ受難曲》H.シュッツ SWV481
エクメーニッシェ・カントライ 東京/横浜
&ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京 有志
独唱者:及川豊/淡野太郎/依田卓
オルガン:柴田圭子 指揮:淡野弓子
ドイツ語福音教会「カントライ」、昨年はバッハの《マタイ受難曲》に挑戦し、刺激を受け、そののち「夏の音楽会」「待降節の音楽会」と歩を進め、今年の受難節にはシュッツの《ヨハネ受難曲》を歌いました。全篇ア・カペラで、特に福音史家、イエス、ピラトなども単旋律ですので、難易度は一気にアップしました。
和音ごとに根音と倍音を考え乍ら発声する技法を徹底し、通常の何倍もの時間をかけて練習した結果、本番では重要な和音がすべてピシリと決まり、善き恵みの時を与えられました。
歌い手の一人Mさんから聞いた話です。小学校1、2年の男の子が始まる前はプログラムをヒラヒラさせながら騒いでいて、ちょっと心配だなあ、と思っていたところ、《ヨハネ受難曲》が始まると、真剣な目つきで対訳を読み始め、その後も全く狂いなくページをめくり続けて終わりまで聴き通したそうです。Mさん曰く「シュッツはどんなことがあっても歌い続けるべきです」と。
上野精養軒3153
<国際ハインリッヒ・シュッツ協会日本支部 総会および懇談会>
1965年3月28日に設立された国際ハインリッヒ・シュッツ協会日本支部が今年50周年を迎え去る3/30(月)、懇親会が持たれました。支部設立に尽力され初代会長として長年私たちをご指導下さいました服部幸三先生は2009年10月8日天に召され、現在は正木光枝先生が支部長として会をリードして下さっています。
この日会員がそれぞれにこの50年を振り返り、シュッツとの関わりや思い出を語り合いました。
正木先生より、本部より届いたお祝いの便りの中に、今や日本支部はシュッツ協会のStamm(根幹)である、との言葉がありました、とのご報告があり、一同喜びを新たに致しました。あれもこれも私たちの演奏をお聴き下さる皆様あってのこと、ここに改めてこれまでの長いお支えに感謝申し上げます。
2015/5/1(金)午後7時開演
三鷹市芸術文化センター「星のホール」
<狂童女の戀>(詳細はTopPageフライヤー画像にて)
チラシ裏の「前口上」でこの公演に至る経過を述べさせて戴きましたが、私としては初めての試みであり、共演して下さる坂本長利、黒谷都、武久源造の三氏もこんな形の演し物は「今までに体験したことがない」とのこと——
確かに、通常の歌のリサイタルではなく、人形劇でもオペラでもありません。音楽は既成のものに新作が交じり、登場人物の一人は人間ではなく人形です。優れた人形作家の一人井桁裕子さんの手になる人形「ユトロ」は ‘狂童女’として、また古の ‘アリアドネー’ となって国際的人形遣いの黒谷都さんに操られタイトルロールを演じます。
老練でありながら青年のような、そして驚くなかれ今年85歳の坂本長利さんは、岡本かの子の短編『狂童女の戀』を全篇朗読、役柄は狂童女に戀される詩人 ‘西原北春’(北原白秋)です。
歌は、時に登場人物の思いを語り、一つの詩節(ころがせ、ころがせ、びいる樽)を6通りの形式で歌ったりしますが、立ち位置は黒子です。が、バックグラウンドミュージックではなく、いわば別次元の風景とも言えるでしょう。武久源造さんの冴えた音色とすべてを超えて漂うようなミラクルな音楽をお楽しみ下さい。
こんなわけで、お話すればするほど混乱なさるといけませんのでこの辺で切り上げますが、どうか皆様、是非実演をご観賞戴きたく、心よりお誘い申し上げる次第です。
チケットお申し込み■菊田音楽事務所
T&F:042-384-0543
e-mail:yumiko@musicapoetica.jp
ルーテル市ヶ谷ホールJR市ヶ谷駅より徒歩7分
<アンサンブル・アクアリウス>
——発足20周年記念コンサート
珠玉の女声合唱作品を集めて〜ヒルデガルト・フォン・ビンゲン/プレトリウス/シュッツ/シューベルト/メンデルスゾーン/シューマン/フォーレ/ラングレ ほか
合唱 アンサンブル・アクアリウス
ピアノ 安芸彊子 オルガン 山口眞理子
指 揮 淡野弓子 全席自由:2000円
連絡先 03-3327-4528 田代田鶴子
当初「女声合唱」というものの十全な音造りには全く自信のなかった私でしたが、20年の間にいろいろなことを知らされ、最近になって女声だけでも充分に深く美しい響きで合唱を楽しむことが出来るということが分かってきました。
今回はこの20年間の学びの中で、これは、と思った作品——中世から現代、ユニゾンから多声、ア・カペラと鍵盤楽器(ピアノ/オルガン)付き、を厳選し、女声合唱作品の多彩な魅力をお届けしたいと思っております。
東京芸術劇場コンサートホールJR池袋駅西口
<椎名雄一郎J.S.BACHオルガン全曲演奏会>[シリーズ最終回] コラール唱 石川洋人/淡野太郎
2005年に始まったこのシリーズもいよいよ最終回の第12回目を迎え《クラヴィーア練習曲集 第3部》が演奏されます。
入場料金:全席指定3,500円
お申込み:03-5216-7131 アレグロミュージック
クロイツ教会(東京・五反田)入場無料 [献金]
SOMMERKONZERT<夏の音楽会>2015《来れ聖霊よ》J.ダンスタブル ほか
エクメーニッシェ・カントライ 東京/横浜
指揮:淡野弓子
2015/4/18(金)午後2時開演
ヒルサイドプラザ(代官山)
<メンデルスゾーンとスイス>
講演 星野宏美
演奏 田尻真高(指揮)
カメラータ・メンデルスゾーン2015
参加費 一般4000円 会員3000円 学生1000円
お申込み:03-3589-3726(F)
e-mail:info@mendelssohn.jp
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ基金日本支部
4/29(水)から5/6(水)まで13:30-16:30
講 師 新井眞澄
会 場 新井真澄スタジオ(東京都西東京市内)
・個人レッスン2回(1人75分×2回)
・ミニコンサート1回&講師コメント(5月6日)
受講料 一般 25,000円・学生 22,000円
連絡先 スタジオ・ベルリン
e-mail:pianistinma@hotmail.co.jp
ムシカ・ポエティカ FAX:03-3998-5238
★『パイプオルガン入門』を春秋社より出版いたしました。構想から2年以上たって形にやっとなった次第です。本屋さんで、または下記のamazonでポチッと押してください。本はすぐに手に入ります。皆様によんでいただけたら幸いです。
http://www.amazon.co.jp/dp/439393198X
15歳の時にオルガンに魅せられ以来、オルガンという楽器と音楽を探求し続けた椎名さんが「オルガンに興味はあるけれどまだ聴いたことがない」という方に向けて書かれた、とのことですが、どうしてどうして、その内容の豊かなこと———楽器の仕組み、名曲めぐり、世界のオルガン、日本のオルガン、オルガニストの系譜、とオルガン百科全書と言っても過言ではありません。また語り口が平易でどのページを開けても堅苦しさがなく、へえー、ふーん、と教えられることばかり。1册持っていれば安心、お薦めです。
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昨年4月2日に演奏致しましたバッハ《マタイ受難曲》のライヴ盤CD解説/対訳付がリリースされました。 定価 3000円
この「便り」読者の皆様には送料無料にてお送り申し上げます。郵便振替:00110 - 4 - 117983
ムシカ・ポエティカ宛
@3000円×枚数を明記の上ご送金下さい。
確認後、郵送させて戴きます。
では皆様、どうか良い季節をご機嫌良くお過ごし下さい!
2015年4月
ムシカ・ポエティカ 淡野弓子