随分のご無沙汰です。
まず今夜のSDG、当サイト「スケジュール」欄より
Soli Deo Gloria <賛美と祈りの夕べ> Vol.279
聖書朗読:宮崎新 本郷教会牧師
日本キリスト教団 本郷教会(東京・上荻)杉・上荻4-24-5 T.03-3399-2730
JR西荻窪より北へ徒歩10分 [入場無料]
曲目:
H.シュッツ:「宗教合唱曲集」より
第3番 <神の救いの御恵みが現れた> SWV371
第6番 <我ら誰ひとり自らのために生きず> SWV374
J.S.バッハ カンタータ第93番 <尊き御神の統べしらすままにまつろい>
[三位一体祭後第5日曜日のためのカンタータ]
H.シュッツ:「宗教合唱曲集」より
第12番 <神はそれほどまでに世を愛された> SWV380
演奏:
ソプラノ 柴田圭子 アルト 淡野弓子 テノール 依田卓 バス 小家一彦
器楽:ユビキタス・バッハ
オーボエ 後藤望実/大木務 ヴァイオリン 大野幸/鈴木崇大
ヴィオラ 谷口勤 チェロ 大軒由敬 コントラバス 松永秀幸
オルガン 山口眞理子
合唱:ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京 & メンデルスゾーン・コーア 有志
S 神山直子/櫻井尚子/柴田圭子/巽瑞子/玉井千恵/村井あゆみ/大和美信
A 秋山百合子/石塚瑠美子/大島さち子/影山照子/小西久美子/佐藤道子/ 田畑玲子/淡野弓子/戸井恵子/中村光子/
松井美奈子
T 甲斐高志/向樹生/依田卓
B 石塚正/小家一彦/五月女温/中村誠一
指揮 淡野太郎
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6/29(金)東大教養学部900番教室で行われた<故 杉山好 教授 追悼演奏会>は非常に良い会でした。それは単に、この日の数時間の話ではなく、900番教室にオルガンが設置されて以来の歴史、さらにはバッハにそしてシュッツに溯り、ついには旧約聖書のヨブにまで至ったかのような時間でした。
教養学部の川中子先生、ゴチェフスキ先生にすっかりお世話になりました。コンサートに先立ってゴチェフスキ先生が日本語で「今日はまことに歴史的な音楽会です。このオルガン設置に大変な努力をされた杉山先生の追悼の会に、このオルガンの披露演奏で歌ってくれたシュッツ合唱団が35年の時を経て、再び演奏して下さることとなったのです。指揮者も35年前と同じです。ここでもその後コンサートを続け、今日は第125回目です。」とお話下さいました。
椎名雄一郎の奏でるオルガンソロ、バッハ《前奏曲 ロ短調》に続いてシュッツ《Musikalische exequien 音楽による葬送》を歌いました。「Nacket bin ich von Mutterleibe kommen und nacket werde ich wiederum dahin fahren. 私は裸で母のを出た。裸で彼処に帰ろう。」との有名なヨブの言葉で始まるこの曲、日本で最初に歌ったのは1969年、その後幾度歌ったことでしょう。杉山先生はこの極く初期のシュッツ合唱団をお聴き下さり、それ以来およそ40年に亘って聴き続けて下さったのでした。
この曲のテキストは、どれほどの厭世や悲哀の表現であろうと、不思議なほどの生命力に溢れ、いやでも懸命に、真剣に歌わざるを得ません。そして一句一節、杉山先生の生前のお仕事振りを思い出させるものでした。私たちの傍らに杉山先生が立っておられたかと思うと、客席で踊っておられる姿に変わりと言った具合に、終始先生は900番教室で共ににこにこしておられました。
最後に「主よ、人の望みの喜びよ」のコラールを歌いました。追悼演奏会にしてはあまりに明るい曲ではあったのですが、先生、お元気で! とお送りするのにふさわしいと思ったのです。
終わってゴチェフスキ先生が壇上に来られ、いきなりドイツ語で「Nacket bin ich von Mutterleibe kommen und nacket werde ich wiederum dahin fahren.」と始められ「・・・裸で生まれ、なにも持たないで天に帰る、と歌われていましたが、人はこの世に大きなものを遺します。杉山先生はこのオルガンを遺して行かれました。」と話されたのです。
今歌った歌詞が、演奏直後に素晴らしくも大きな応答となって還ってきた、という体験は格別のものでした。そのあとのパーティも感動的なひとときでした。またお話します。