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ムシカWeb通信


■ 2012/06/22 この1週間、そして明日は

 6/17(日)久しぶりの礼拝オルガン奉仕。午後はSDGの練習。合唱とアルト・ソロで声を出した。違和感なく歌える場に感謝。

 6/18(月)シュッツの練習。50日間の練習の成果を聴く。Schütz:Musikalische Exequien, ソロも重唱も合唱も全員が歌えるように、と頼んでおいた。各パートの人数が多くてもユニゾンが1本になることは基本中の基本である。どんな調律法でも1度と8度に妥協はない。忍耐強く和声の勉強をしたのだろう。渡米前よりずっとピシッとしていた。

 どの音も美しい声で歌える歌手はそこここに存在するが、たった1音出して、その音が何調の第何音を出したかが分かる歌手は稀である。ソロでは「美しい声」までで及第でも合唱では常にこの和声感覚と実践の技術が問われる。

 6/19(火)アクアリウスの練習。素直な気持ちの良い声。リスト《キリスト》のあとだからか、台風一過といった感じだ。こういうことが起こるのは苦しい本番があったればこそ。

 6/20(水)シュッツの練習。ほぼ全員の出席。6/29(金)東大駒場900番教室における杉山好先生追悼演奏会で、Musikalische Exequienを歌う。この曲は音楽も素晴らしいが、歌詞がまたとなく良い。このレクイエムをシュッツに依頼したロイス公は生前密かに柩を作らせ、その上に自分の選んだ聖句と讃美歌の歌詞を彫らせていたという。シュッツはこの歌詞を用いて曲を作らねばならなかった。さらに公は、生前この曲を聴いたとのこと。歌詞を通読すると、一生をかけてイエス・キリストを求め続け、ついにキリストにまみえ、感謝して「これで良い」と言って旅立った人の姿が浮かぶ。新約聖書では預言者シメオンだが、この人の像にロイス公が重なってみえた。

 どの部分も全員が歌えるように練習してあり、ハーモニーは今が一番良い。

 6/21(木)2年前に脱稿した十万字の原稿がやっと活字になるとのことで、H社のS氏にお目に掛かる。

 (読者の気持ちになって)「繰り返し読んで完全稿に」というのがこれからの仕事である。

 6/22(金)明日歌うバッハのアリア(カンタータ7番)をさらう。                  

 そして明日はSDG。以下、太郎のFaceBookの記事です。皆様、是非お出かけ下さい。

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 Soli Deo Gloria<賛美と祈りの夕べ> Vol.278

 2012年6月23日(土) 18時開演

 聖書朗読:宮崎新 本郷教会牧師

 日本キリスト教団 本郷教会礼拝堂(杉並区上荻4-24-5)

 http://www.musicapoetica.jp/hongou.php

 [曲目]

 H.シュッツ:「宗教合唱曲集」より

 第3番 <神の救いの御恵みが現れた> SWV371

 第6番 <我ら誰ひとり自らのために生きず> SWV374

 J.S.バッハ:カンタータ第7番 <われらの主キリスト、ヨルダンの川に来たり>

 [洗礼者ヨハネの祝日(6月24日)のためのカンタータ]

 H.シュッツ:「宗教合唱曲集」より

 第12番 <神はそれほどまでに世を愛された> SWV380

 入場無料

 [出演]

 アルト 淡野弓子 テノール 依田卓 バス 小家一彦

 器楽:ユビキタス・バッハ

 ソロ・ヴァイオリン 奥村琳  オーボエ・ダモーレ 後藤望実/大木務

 ヴァイオリン 二宮昌世/関建一郎 ヴィオラ 谷口勤 チェロ 山下直也

 ファゴット 森本敏嗣 コントラバス 松永秀幸 オルガン 石原輝子

 合唱:ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京 & メンデルスゾーン・コーア 有志

 S 神山直子/古武沙織/櫻井尚子/柴田圭子/巽瑞子/玉井千恵/細川好子/村井あゆみ/大和美信

 A 秋山百合子/大島さち子/栗川三千子/小西久美子/佐藤道子/武井紀子/田畑玲子/淡野弓子/戸井恵子/

   中村光子/松井美奈子

 T 甲斐高志/影山照子/藤本桂太/細川裕介/依田卓

 B 小家一彦/五月女温/中村誠一/山形明朗

 指揮 淡野太郎

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 指揮者より簡単な説明:

 「洗礼者ヨハネの祝日」というのは日本では馴染みがないが、ドイツのカトリック圏の町(例えばマインツ等)では今でも盛大に祝っていたりする。

 この日のためにバッハが書いたカンタータは3曲が現存しているが、後に書かれたBWV30のほうがはるかに有名だったりするので、この曲を含む最初の2曲は知名度が薄い。

 しかしこのBWV7、実際に音にしてみるとなかなか味がある。変な言い方になるが、そこかしこで微妙にバッハらしくない音がするのだ。複数の楽器をひとつのメロディラインに集中させているものが多いため、メインの旋律がくっきりしていて洗練された印象で、時々ヘンデルの曲を演奏しているような錯覚にすら陥る。

 バッハは普段もうちょっと細部に凝った、悪く言えばひねくれた曲を書くことが多く、演奏者からは「演奏しにくい」、聴き手からは「わかりにくい」と散々な評判を受けてばかりだったという。

だからたまには「こんなのもちゃんと書けるんだぜ」というアピールをしていたのかも(笑)

 とっつきやすい割に演奏機会の少ないこの曲、お時間のある方はどうぞご来聴いただければ幸いです。


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