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ムシカWeb通信


■ 2010/10/07 <白鳥の歌>終了

 ご無沙汰をお許し下さい! 《白鳥の歌》コンサートは無事終了致しました。共に演奏してくれたシュッツ合唱団メンバー各位、ソロアンサンブルに加わって下さった歌い手の方々、お聴き下さいました皆様、長年に亘り蔭に日向にお支え下さる皆様、本当に有難うございました。

 それ以来うんともすんとも言わぬ日が三週間にもなろうとしています。翌日は茫然自失に近い状態、そのあと、夏一杯に仕上げなければならなかった原稿の執筆に没頭、目出たく10/4脱稿しました。これが何かは世に出てからのお楽しみです。

 昨夕から今朝にかけてのノーベル賞受賞の報道、ボーッとした脳に一撃です。朝刊に踊る「鈴木カップリング」「根岸カップリング」なる言葉、化学にはど素人の私が非礼を顧みずに申し上げるなら、ああ、音楽の演奏とよく似た話だなあと思いました。9/17夜にはシュッツ合唱団と私との「カップリング」が成功したような気がするからです。「触媒」となって下さったのは小家一彦(A)、真木喜規(T)、及川豊(T)、浦野智行(B)の各氏、この方々とシュッツ合唱団のメンバーである今村ゆかり(S)、柴田圭子(S)、依田卓(A)、淡野太郎(B)とが S/A/T/Bからなるソロアンサンブルを2組構成しました。一曲の中で合唱とソロアンサンブルが部分的に交代したり、第1合唱をアンサンブルが、第2合唱をシュッツ合唱団が歌ったり、またアンサンブルのみで歌う曲、合唱団のみで歌う曲なども織り込み、全13曲を様々な音色の組み合わせで歌いました。練習中はソロアンサンブルの音色が心配でしたが、前日のリハーサルで急に思いがけない音色が垣間見え、当日のゲネプロではさずがのまとまり、その変貌ぶりにそれまで余裕のあったシュッツ合唱団が一瞬浮き足立ち腰のない声に。これは大変と、全曲を通したあと午後5時からもう一度合唱団だけねじを巻き直す。ずっとリハーサルから撮影していて下さった写真家の風間さんが「5時から急に声が変わりました」と。26年間も私たちを撮り続け、声を聴き続けて下さっている方の本番前のこのひと言に、じわりと勇気が湧き開演へ。いつものことながら集中力抜群のお客様でした。全曲ア・カペラ、休憩なしの90分が無事終了したのも、この聴き手の皆々様との「カップリング」のお蔭、改めて心より御礼申し上げます。

 皆様から戴いたご感想の一部をご紹介致します。

 

 K氏より

 シュッツ合唱団が一皮剥けた? 明らかに以前とは違います。団員の皆さんの、「発声時の勇気」に確信と自信を感じました。

 

 I さまより

 ・・・・・・テクストと首っ引きで、最初から最後まで瞬きをするのさえ惜しいような気持ちで聞かせて頂きました。シュッツはどうやら凄い人らしい、然しその凄さをもっともっと知りたい(私は不勉強な者ですので)味わい尽くしたい、と思いました。

 

 N氏より

   久しぶりにシュッツの音楽を堪能いたしました。言葉を大事にしたシュッツの最晩年の音楽である詩篇119編、110編とドイツ語マニフィカートは自ら死を予感したかのような曲ですね。それを見事に演奏されたことに拍手で感謝するだけでは如何にも不足です。一寸残念なことは、会場(東京カテドラル)の残響が長く、音楽にはよいのですが、その大事な言葉が聴き分けにくいことが欠点ではないかと思っています。

 

 Kooono氏のBlog:

 http://web.me.com/kooono/サイト/days/エントリー/2010/9/18_白鳥の歌.html

 

 今、私たちのサイトのTopPageを飾っている蘆野ゆり子制作のカリグラフィー、シュッツ<白鳥の歌>は、ドイツのヴァイセンフェルスにある「ハインリヒ・シュッツ・ハウス」にも展示されています。当日はこの作品が聖堂内後方の小さな照明の下に置かれ、趣を添えました。

 340年前のシュッツが、この日に起こったことを想像したかしないか知る由もありませんが、どういうわけか彼の歌の響くところ、常に彼の存在を感じます。


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