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ムシカWeb通信


■ 2009/12/22 シュッツのこと/クリスマス・コンサートのご案内

 12/15(水)シュッツ協会の会合が東京文化会館の会議室で開かれました。正式には国際ハインリッヒ・シュッツ協会日本支部というのです。これまで支部長であられた服部幸三先生が10月8日(シュッツの誕生日!)にお亡くなりになり、後任の支部長選出という重大な議題を抱えての会合でした。事務局長の荒川恒子先生は10月にブレスラウで行われた「シュッツ祭」に参加なさり、ポーランドの人々の暖かさ、優しさは格別のものであったこと、またシュッツ協会本部の事務全般を背負っておられる Sieglinde Fröhlichさんの肌理の細かい心遣いに感激されたことなど話して下さいました。それにつけても、今世界中でシュッツを大切に思う人の数が減少しているという現状は誠に残念且つ実に憂うべきことです。どのような音楽を演奏し、また聴くか、ということは、自然環境破壊の問題と同列に扱わねばならぬほど重要なことと私は思います。どのような音楽、と言った意味は、言い換えればこの世に必要な音楽、あった方が良い音楽という意味で、人間が生きて行く上でその人を本質的に強め、人として自然な状態に置く力のあるものということです。藝術作品としての優劣を云々しているのではありません。

 しかし、シュッツに関しては驚いたことがありました。娘の桃子は北欧系アメリカ人と結婚したのですが、彼のお父さんはフィンランドの出身で祖国には当然多くの親類が生活しています。その人たちの一人がお土産にくれたCDがシュッツのモテット集だったのです。勿論桃子の母親がシュッツの演奏家であるなどということは露知らず、です。そのCDの演奏は、うっかりすると東京のシュッツ合唱団ではないか、と思うほど私たちに良く似ていて、これにもびっくりしました。

 シュッツはひと口に言うと「難しい」音楽に属するとはいえ、ポリフォニーを構成する各声部の動きは驚くほど人間の声帯と筋肉に適合していて、歌えば「頭がはっきりし」「元気になる」音楽です。勿論練習を重ね、勘所がピシッとしてくれば、この世を作っている一粒一粒の粒子があるべきところにあるべき姿で生きて動いているのを実感するような、そんな幸せに恵まれるのです。

 と言いつつも12/23(水・祝)午後5時の<本郷教会クリスマス・コンサート>はバッハとメンデルスゾーン、それに幾つかの愛らしいクリスマスの音楽を合唱と合奏でお届け致します。詳細はスケジュール欄をご覧下さい。ご来会を心よりお待ち致しております。


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