あれよあれよという間にSDGです。先週のレポートは musica21p2.exblog.jp で Claudia さんがまことに親身な報告をして下さっていますので、どうぞそちらをご覧下さい。
今夕は、シュテルムタールというライプツィヒ近郊の小さな村にある教会のオルガン奉献のためのカンタータ194番<こよなく待ちこがれし喜びの祝い>を演奏します。バッハがこのオルガンの検定をしたことで知られており、現在も当時の音を聴くことが出来ます。今回のオルガニストは武久源造さんですが、まだ東西ドイツが統合される前に、クルト・マズーア氏のご尽力で、武久さんと私はこのシュテルムタールのオルガンを見に行くことが出来たのです。マズーア氏自ら車を運転され、何度も地図を見直したり、人に尋ねたりしながら、やっとこの小さな村に辿り着きました。ドイツの歴史的オルガンは人里離れた周辺の小村に点在しているのですが、ここも例外ではありません。ほんとうに鶏が走り回っているような野っ原にこの教会、そしてオルガンがあったのです。こじんまりとしたオルガンながらその音の美しさはこの世のものとも思われませんでした。マズーア氏は「まず全ストップを引き出し、楽器の肺の強さを知りなさい」と言われましたが、そのプレーノ(全音栓)の音は澄み切った強さで、次に各ストップを一つずつ試してみるとまことに麗しいチャーミングな音を次々と聴くことが出来ました。それは鈴のような、鐘のような玲瓏たる響きでした。
たまたまの巡り合わせでこのカンタータ194番のオルガン・パートは武久さんが奏くこととなりました。不思議な因縁を感じます。曲は非常に牧歌的で舞曲風の歌も多く、原曲は散逸してしまった世俗カンタータと言われています。お時間、ご都合が合うようでしたら是非お出かけ下さい。6/13/09 土曜日午後6:00 本郷教会礼拝堂[杉並区上荻4-24-5 T.03-3399-2730]