6/24武田正雄氏による「フランス歌曲の楽しみ」という会が催されました。昨年のこの会が素敵でしたので、今年も是非と思っていたのですが、ただ今ちょっと遠方におりまして伺えませんでしたので、羽鳥典子さんに是非レポートを、とお願いしました。どうぞご覧下さい。因みに昨年の会については当サイトの<ムシカ・ポエティカWeb通信 Vol.1>に載っております。また後日正式にお伝えいたしますが、9/4火午後2:30より荻窪のかん芸館におきまして、武田正雄・三ッ石潤司 両氏による歌い手とピアニストのための「フランス歌曲講座」が開催されます。お覚え戴ければ幸いです。(Y.T.)
フランクとフランキスト
〜フランスにおけるリリシズムの試み〜
レポート:羽鳥典子
私はフランス歌曲を勉強する為に、今年から武田先生のもとへ通っています。フォーレは大好きですが、それ以外の作曲家の作品となると僅かな知識しかなくて、フランス歌曲は「未知の世界」でした。
武田先生の、「フランス歌曲の楽しみ」と題したレクチャーコンサートは、とびきり優秀なガイドさんと共に、未知の魅力を体験する旅のようです。
雑司ヶ谷の静かな住宅街に建つ、小さな音楽堂。定員は50名ほどでしょうか。声には申し分のない音響です。歌曲というジャンルは、元来こういう空間で演奏されるものなのだろうな、と思いました。言葉のデリケートな表情が、そのまま聴衆に伝わる距離、とでも申しましょうか。もちろん繊細な表現力がなければ、かえって「こわい」距離になるやもしれませんが。
この日のプログラムは、フランクとその弟子(シャブリエ ショーソン デュパルク)の作品群。分かやすい解説と共に、それぞれの作曲家の個性が明らかになるように構成されていました。たぶん当日のお客様達には、私同様初めて聞く作品が多かったと思うのですが、一曲聴き終わる度に「ほおーっ!」と感嘆のため息がもれていました。小さな箱を開けてみたら、それは綺麗な宝石が入っていて驚いた時のようなため息です。演奏者と聴衆の間に、確かな時間が「共有」されておりました。
アンコールはフランクの「天使のパン Panis Angericus」 この曲が紛れもないフランス音楽であると再認識させられる、名演でした。