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ムシカWeb通信


■ 2007/06/01 瀬尾文子 その六

 また、ある晩は、ゴットフリートが先に部屋に戻ったチャンスを捉えて、みんなで、今年の7月末に定年退職を迎えるマイスターに、どんなお別れのプレゼントをするか、ブレーンストーミングをしました。マッテーイさんのAbschiedsfeier-Gottesdienst(定年退職を記念する礼拝)は6月24日にエピで行われます。その終了後に、なにかしようということになりました。まじめなことをするか、ユーモアたっぷりのことをするか。その両方、ということに決まりました。これまでの演奏旅行の作文集を作るとか、写真集を作るとか(エピファニエン・カントライはおよそ2年に一回演奏旅行をしていて、これまでにドイツ国内のほか、トルコ、イタリア、ハンガリーなどに行っています。やはりこれらの旅行が、彼らにとって一番思い出深いことのようです)、いろんな意見が出ましたが、アイディアだけで、それ以上のことはまだ話し合えませんでした。そして話は自然に、カントライの「その後」のことになりました。

 ゴットフリートの退職に際しては、いろんな問題があります。まずは、新しいカントールのこと。まだ決まっていません。ドイツの教会音楽家のランクで言うと、ゴットフリートは一番上の「A-Stelle」ですが、エピファニエン教会はいまとても貧しくて、それだけ優秀な教会音楽家を雇うお金がありません。新しいカントールは「C-Stelle(それも最も最下位の)」で募集する他ないんだそうです。そして、このランクの音楽家に、カントライを指揮するだけの能力があるかどうかはあやしく、また、あの大きなオルガンを自在に操る能力も疑われています。カントライのメンバーは旅行前に無記名でアンケートを行い、ゴットフリート退職後も、彼の下に集まって歌いたいかどうか、意見調査しました。ほとんどがJaと答え、ゴットフリートも乗り気なので、気持ちの面では一致団結しているのですが、練習場所や時間のことなどで教会側と対立していて、解決していません。

 それから、ゴットフリートが勤続35(~40?)年の間にためつづけた、アルヒーフ(紙の山)の問題があります。俗にメPapier-Problemメと言われています。エピの2階、オルガン席の周辺と、奥の楽譜室、そして塔のカントールの部屋には、床が抜けそうなくらいの量の資料がカオス状態に散在していて、始末に困っているらしいです。資料とは、楽譜以外に、主に新聞・雑誌の切り抜きです。ゴットフリートはこれを捨てたくないそうで、新しいカントールと衝突することは目に見えています。それならアルヒーフをそっくり自宅に移すことはできないのかと訊いてみたら、ゴットフリートの家も紙であふれかえっていて、ダメだそうです。(今度見に行ってみる?と訊かれました。)退職記念の贈り物として、倉庫あるいはマンションの一室、ともあれ何らかの空間をアルヒーフ用にプレゼントするという意見もあって、いい考えだと私は思うのですが、実現するかどうかノ。


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