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ムシカWeb通信


■ 2015/01/16 「シューベルトの夕べ」FBより

 来週の月曜日シュッツ合唱団がシューベルトの合唱名曲を歌うので、練習を見に行きました。美しいシューベルトの和声を聴きながら私は、シュッツ、バッハからシューベルトへの歴史の流れの中で、17世紀の人々が「主」「神」に対して持っていた信頼、畏敬、愛といった心のエネルギーが、シューベルトの時代にはここまで減衰したのだと感じ、ショックを受けました。この音楽を聴いても人々の生活は昨日と同じように変わりなく維持されるでしょう。シュッツの音楽を聴くと、明日からの生活を変えねば生きている価値がない、と感じることがあります。それ故、シュッツのCDを聴くには覚悟が要る、と仰った方もおいででした。彼が人間の書いた詩に作曲したものの卓越性は今更言うまでもないこと、ここまでに述べたことはシューベルトの宗教作品に対して感じたことです。

 なんらかの問題を曲に感じた場合、それを乗り越え、原曲のメッセージ以上のものを伝えることが出来るのは演奏者です。特に現代の聴き手が無意識に切望している「なにか」が演奏によって満たされるとすれば、その場はかけがえのないものとなり、演奏者の存在理由も明白になるはずです。快演を祈りつつ。 1/19(月)18:30開演 東京文化会館小 Neue Klänge第5回演奏会「シューベルトの夕べ」歌曲&合唱  3,500円 


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