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ムシカWeb通信


■ 2012/02/20 響き

 娘の桃子がキースと結婚し、私たち家族がフィンランドの人々と縁戚になる、ということだけでも不思議な出来事でしたが、さらに驚いた事がありました。桃子のお母さんは合唱の指揮者らしい、ということを聞いたこのフィンランドの方々が、お土産に、と私にCDを下さったのです。なんとそれはハインリヒ・シュッツのモテット集でした。彼らは私がシュッツを研究していることまでは知らなかったのに、です。そのCDから流れた歌声は気のせいか我々の声の響きに良く似ていて、シュッツに対して抱いている思いが手に取るように分かる演奏でした。

 声の響きといえば、2/11(土)、習志野文化ホールで行われた椎名雄一郎さんのオルガン・コンサートで、バッハのカンタータから名曲を選んでパイプ・オルガンと共にシュッツ合唱団・東京も歌ったのですが、そのあとのCD販売+サイン会のテーブルに、実に懐かしげな眼をして近付いてこられた老青年がおられました。この方は、その昔、皆川達夫先生の朝のバロック番組で私たちの演奏したシュッツの《マタイ受難曲》(当時はまだLPでした。)を聴き、その響きがずっと記憶に残っていたが、今日聴いたシュッツ合唱団はまさにこの記憶と同じ響きだった、とそれは嬉しそうに語って下さったのです。感動!

 この響きは私たちが創ったものではなく、その昔シュッツを動かしたなにものかが今もせっせと働き、私たちにもその力を注ぎ込んでくれていることによって生まれた恵みの響きという気がします。フィンランドのCDから伝わってきたのも正にこの響きでした。


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