これまでの弦楽のみの練習でも「これだけでも音楽が成り立っている」ということがはっきり分かり、単なる分奏ではない面白さに皆喜んでいたのですが、ここにフルート、オーボエ、ファゴットが加わってさらに各場面の情景、人物の情緒表現が明確になりました。歌手の言葉の伝える事柄はオーケストラの音型、リズム、和声、転調によってさらに雄弁になって行きます。
以下はこの練習中に寄せられた、ヴァイオリン奏者 林由紀子さんからのメールです。
今回は<エリヤ>を弾かせてくださり本当にありがとうございます。私にとりましては一生に一度弾けるか弾けないかの曲ですが、もっとずっと弾いていたいほど好きになりました。「ただの友達」と思っていた人が「恋愛対象」になったような感じです。
今回は瀬戸先生の隣で弾かせていただく事が多く、驚嘆の連続です。4つくらいのエンジンを並行して動かしていらっしゃると感じる場面が何度もあります。難曲を弾きこなされながら、楽譜の先まで目で追われボウイングを瞬時に決め、セカンドの弓までご覧になり、他の楽器の音を聴き、淡野先生の解説を書き留められています。しかもお弟子さんたちに無言の指示までも表現されています。初めて間近で体験する世界です。淡野先生の説明や場面を音で表現される時に、対応するviolinの技術(裏技含め)のrangeが幅広く微細に使い分けておられ、私が言葉で質問すると、想像もしなかった答えが返ってくることもありました。序曲などでは、ぐっと心を掴まれる様な音を表現されます。何時間練習しても瀬戸先生に疲れた様子が感じられません。もしかして音楽をエネルギーに変換されているのでしょうか。素晴らしい世界ですから、自分としてはできるだけの事はやりたいと思っています。練習も残り少なくなりましたが、がんばります!
林 由紀子
<エリヤ>の練習をカテドラルでしました。この会堂の独特の響きに対応する各セクションの並び方、またオルガンとの距離など心配なことが多かったので。19世紀の金管、トランペット、トロンボーン、オフィクレイドの響きは、柔らかな、包み込まれるような初めて聴く音でした。ナチュラル・ホルンには替管が沢山あってまるで手品のようでした。
前日カテドラルで音を出してみたので、みなやや落ち着いています。とにもかくにも全曲通すことがこの日の目的です。第一部約70分、第二部もおよそ70分でした。