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ムシカWeb通信


■ 2011/05/05 復活祭!

 4/24(日)のソリ・デオ・グローリア、無事終りました。今年は毎回シュッツの「涙とともに種蒔く者は喜びとともに刈り取らん」で始まっています。歌ってみて分かったことですが、実にどんな状況にもピタリとはまる音楽なのですね。冠婚葬祭、春夏秋冬、喜怒哀楽、切磋琢磨などなど・・・

 二人のイエス(依田卓/淡野太郎)と二人のマリア(今村ゆかり/柴田圭子)の音楽も、あたりにただならぬ空気を漂わせました。今年はお蔭さまで、下手をすると不気味な音も滑稽に聴こえてしまう、という愚からは卒業したように思います。このからくりが分かるまでに40数年を要したことを思うと、改めてゾッとします。

 大石すみ子、羽鳥典子がソロを受け持ち、メンデルスゾーンの女声合唱「善き羊飼いは甦られた」を歌いました。合唱はメンデルスゾーン・コーア、アクアリウス、シュッツ合唱団の女声4声でした。ゴルゴタの丘へ登るイエスのあとを泣きながらついていった娘たち、墓の中にイエスの遺体がないのを知っておろおろした女たちの、イエスの甦りを知って喜ぶさまが見事に伝わる一篇でした。

 バッハのカンタータ第66番「喜べ、汝らの心よ」はもともとは誕生祝いの音楽であったとのこと、華やかで気さくな響きでしたが、トランペット、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、そしてファゴットもチェロ、バスもすべて超絶技巧、合唱も大変でした。アルトとテノールの2重唱がありました。中音域が2声で重なる歌はこれまた難物なのですが、永島陽子のくっきりしたメゾ・ソプラノに依田卓の高くて軽いテノールが装飾的に絡まって、ほとんど初めて聴く音色が生まれました。実音ではメゾ・ソプラノの方が高いのですが、トーンはテノールの方が高く聴こえ、ああ、こういうことだったのか、と納得、ヴァイオリン・オブリガートの二宮昌世、コンティヌオのチェロ大軒由敬、オルガン石原輝子、皆バッハの語法を理解していることがうかがわれ、楽しく聴くことができました。

 最後は器楽奏者も全員参加でシュッツの「Also hat Gott die Welt geliebt 神はそのひとり子を給うほどにこの世を愛された」を歌いました。イエスは人の子として生まれ、人に殺されたのでしたが、キリストはイエスとしてこの世に生まれる以前、永遠の昔からこの世に在り、この世を生き、復活して今を生き、人々に「生命」を与え続けている・・・私はまたしてもこのような摩訶不思議なことを実感したのでした。


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