受難週、金曜日、イエス絶息。何人もの人がその死を見届けた。遺体は香料とともに布にくるまれ墓に納められた。マグダラのマリアは日曜日の朝早く墓に行った。墓の中にイエスはいなかった。墓の外に立ってマリアは泣いた。うしろを振り向くとイエスが立っていた。イエスが「なぜ泣いているのか」と尋ねるとマリアはそれがイエスだとは分からず「あの方を運び去ったのなら、どこに置いたか教えて下さい」と言った。イエスが「マリア」と言うとマリアは「ラボニ(先生)」と言った。
シュッツの<復活祭のディアローグ>はこの場面の音楽である。珍しいのはイエスもマリアも2重唱で歌われる、ということであろう。4人の歌い手が2人の対話を歌う。霊妙としかいいようのない和音である。この和音が2人の心の動きに従って瞬時に変る。鳥肌が立つ。
3/11以来、ずっと「復活の生命」ということを考えている。われわれは肉体の中で生きているが、復活のいのちはそれを取り巻いている。想像をはるかに超えた強力なパワーである。我々はダブルのいのちで生きている。
イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」ヨハネ20;29
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4月24日(日)午後6時より日本キリスト教団 本郷教会(杉並区上荻4-24-5)におきまして、Soli Deo Gloria Vol.265<復活祭の音楽>を開催致します。シュッツ:モテット「涙とともに種蒔く者は」「神はそのひとり子を給うほどにこの世を愛された」シュッツ:復活祭のディアローグ「女よ、なぜ泣くのか?」 メンデルスゾーン:「善き羊飼いは甦られた」 バッハ:カンタータ第66番「喜べ、汝らの心よ」を演奏致します。皆様のご参会をお待ちしております。(入場無料)